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よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪20210328号
〜〜〜〜「板橋の空の下、石神井川は流れる」その2〜〜〜〜
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満目是春風
桜も菜の花も木蓮も、一斉に咲くこの春、
新型コロナ禍の大変な中で、新しい暮らしを見出し進める私たちを、
応援してくれているようです。
お元気ですか。
前回は、生きているプロセスの実例として、
板橋の3階建て木造共同住宅工事計画について、
網羅的なご紹介でしたが、
今回は、その生成プロセスの流れについて着目します。
川とそこに架かる橋、古より人々の営みの中心となっていた
「板橋の空の下、石神井川は流れる」と、
地域を支え続け、またエネルギーを結集して再生した既存の宝を生かして、
萌芽を見出し育み続けるように、
生まれつつあるものを強化し続けるプロセスの流れを、
思い返しながらご紹介します。
1、
ファサード、建物正面について
建物正面は、建物の個性を表し、
街並み、道空間の構成要素で、
地域環境の性格とも作用し合う最重要事項の一つです。
当初、ビルマチークの質に合わせて、
しかし、川沿いの地盤から軽量な木造で、
向かいの低層住居専用地域の屋根並みに合わせて、
首を前にして歩いて、
道空間が美しく穏やかな左右対称に近くなるようにと、
金属瓦屋根を検討しました。
けれでも、一方で、この既にある地域の感じから、
それが相応しいかどうか再考し、その道と敷地割と建物ボリュームから、
実際に屋根が見えず、通りから宿場の街道筋のように大庇が見えるように、
街路の形成に貢献できるのではと期待しましたが、
既にある建物との差が大きく、かえって軋轢を生じると懸念されました。
常々、地域の再生で、荒廃地域のクリアランスや、
工場跡地で経済的に一気に進める場合と、
細胞の活性化のように、自然発生的に、
そこで暮らす人々を尊重しながら個々の建物の再生や更新により、
徐々に、進める場合があります。これは、後の方です。
そうして、新旧と強いコントラストにせずに、
向かいと対称的に近くなる形で、混合・融合させる方が、
穏やかにまとまった地域の感じとなり、
その為、屋根形状は勿論のこと、それを強化する、
エコの面だけでなく形として、庇や、更に庇を強化する方杖や、
内雨樋は、重要であったのです。
そうした点を、息の合った木工事の長橋氏と板金工事の大橋氏により、
前向きに直ぐに理解されて、元請担当の海老沢氏の支持から、
実現となりハッピー〜♪(^^♪
都市計画図の線引きを、メカニカルではなく、
より地につけて、寛容で温かい、人の暮らす住環境整備へと貢献するために。
その存在で感じ取られることを祈りつつ進めました。
2、 建物ボリューム:
オーナーである事業主からは、
この敷地に4階建ての鉄筋コンクリート造と望まれ、その検討に時間を要しました。
当初の計画から疑問視されて、新型コロナ禍が起こる前から、
莫大に膨れ上がった費用の検証が要されると問題視されていたが、
そうしたオリンピック会場施設整備が進む、建設業界での高騰した材工価格は、
原発廃炉処理からの貯蔵タンクなど劣化への防災対策や、実際の復興だけでなく、
様々な影響を及ぼしている中で、その一つのように感じられました。
建替えるには勿体ないが、先が懸念されると、
計画している間の変化は、復興を支えるために歳入を増やす効果を狙っていても、
フワフワと不安定で落ち着きなく、そのオリンピック開催後はどうなるのか、
事業計画を進める中、慎重にもなりました。
川沿いの地盤の耐力から、基礎にコストの掛からない木造にし、
計画を進めるに当たって、階段昇降で無理のない、設備コストも抑えられる3階建てで、
下2層は重たいRC造で3層目を木造ではどうかと検討し、
未だ基礎に掛かるコストで事業収支バランスが取れず、
1階はRC造に2階3階は木造にと混構造も検討しました。その実現へと進める段階で、
上記の事態となったのです。
事業収支バランスから、木造3階建て共同住宅とするに当たって、
耐火性能上からの屋外異種構造の共同階段が、限られた空間と、
性能などと美的さの矛盾が難点だと悩むところ、
忍耐強い審査機関との事前相談中で知ることができ、
嗅ぎつけて期待していた通りに、
令和元年6月の建築基準法改正があり、
生きているプロセス故に直ぐに対応できました。
これで、自動火災報知機設備を備えれば、
屋内木造共同階段が可能となりました。(前回のその1参照。)
これは、これから展開され続けるであろう、
そのユニークさは、その地域で、
戦後に復興を願って植林された国産材を昭和一桁のオーナーが、
その子供たちのような構造材を用いることが出来るということで、
江戸の西から船で運ばれて流れてくる、
強い構造材である西川材を用いるということで、
オーナーの顔は輝き誇らしい表情となりました。
1990年頃に、カリフォルニア州バークレー市内で、
戸建ての学生向け貸室や、シェア・ハウスを1か月間ほど、
空き時間に探して回った木造3階建て共同住宅の階段や、
欧州旅行の際の小ホテルの階段空間が、記憶に沁み込んでいたようだと、
その施工後に感じた次第です。
こうして、最終的に木造3階建てとなりましたが、
職方も付帯材も普及型の恩恵を享受できる軸組工法としました。
3、 有機的な生成プロセスから生まれる、全体像とコストパフォーマンス
一方で厳重な事業予算管理の下、計画は見積調整と並行して進みました。
その間で、新型コロナウイルス感染拡大危機が、世界的に拡がりました。
令和2年2月半ばに建築確認済み証を受けたところでした。
当初は、その後の展開を踏まえて、各構造材の強度や材種やランクなど、
網羅的に明らかに把握したいと臨んで、構造ソフトプログラムの精度やサポート体制や、
それ自体の便宜性に感銘を受けつつ、空間そのものを重視して、
適材適所にベストな選択をするようにと願っていました。
それで、その地域のその時点での市場流通価格、
普及材とそうではない材の価格差が垣間見れましたが、
全てを知るのは、その内訳明細の単価や価格が黒塗りであることから、
どの建設会社経由でも、長年の問屋からの取引関係からとのことで無理でした。
米国の木材の使い方は、生き物というよりは、物として、
食肉を扱うのと同様に、システム化されてはいるが、伐採も製材も機械的で、
ザラザラした面に直ぐにバクテリアや苔やカビが生えないように防腐防蟻剤や、
劣化しないように樹脂や蜜蝋が主材の塗料で補い、
簡単に接合できる金物を用いるが、
その現場ごとの残材の山を見て、驚いたことを思い出しました。
フランスでは、樫の大きな材が丸太梁で、その径が60cm以上あり、
鉈で磨かれるように切られて、ロートアイロンの大きな楔で、仕口の接合を補っており、
地元の石からなる組積造の民家が、
納屋や体育館よりも大きな飼育小屋と共に
アンモナイトの化石が見つかる牧草地に地平線を構成し、
糸スギのような防風林的な並木が伐採された1960年代後半には、
核家族化し、子供たちは、仕事は農場でも住むのは町や、
RC造が主となっている都会へと、
その大材が扱える木造技術はほぼ途絶えていたとのことでした。
その為、そうしたフランス革命以前の民家を、
大切に地元の大工さんの協力を得て、設備も整えて、
タイル貼りや塗装や左官は住まい手の手により長年かけて再生したケースを、
いくつか、見ることが出来ました。
それでも、ノートルダム大聖堂の再建で
1000本のオーク大材を国内から調達できる素地があることは、
流石に絵本「木を植えた男」の国、羨ましいですが。
この再建が、覧古考新で、
未来にこれまでの技術も残しつつ新たな境地へと進む機会となるのでしょう。
楽しみですね。
日本の個々の材の生育状況や、
性質を見抜き、木目を生かして磨くように扱い、残材も少なく、
高めのステンレスや、錆びる金物に頼り切ることなく、
継ぎ手や仕口の接合を補っています。
ビスやその素材の認定違反のニュースを聞いて、
地震が日常的にどこかしらで起きる国では、
両方で支え合うというシステムを選択できることに救われます。
手頃な住宅価格の為に、作業場や現場で加工することなく、
専門工場で計算に基づいて加工するプレカットのシステムに頼らざるを得ないのですが、
その継ぎ手の機械的な加工は、大きな材に相応しく、住宅規模の材では、粗く感じてしまう、
1990年に見た米国の住宅現場を思い起こしました。折角の木工技術が・・・と。
経済的高度成長が進んで、
1980年頃、耐震性が重視され始め、
低層集合住宅内のコミュニティとプライバシーの関係、
共用空間や外部空間の大切さがうたわれた昭和55年の「ハウス55」や、
バラツキのない品質保証できる質の木材供給、木造の標準化の視点からも、
接着剤の開発から集成材や、ボルトなどの金物や、
プレカット技術やその普及方法について議論されていたことを思い出します。
そして、21世紀の今では、
集成材が普及して、全て、プレカット材による状況になっていました。
それでも、寺社や数寄屋だけではない、手の届く木造建築技術、
そこから生み出される美しい木造文化を守るのに、
より良い物をと創造する情熱を持つ施工者をまとめる請負施工者と、
それを支える問屋との、経済的合理性に対しての守りの関係は理解できます。
プレカットや集成材は普及しても消費者にとって闇は闇として、
80年代から40年間経てますが、
急進的ではなく、新旧のシステムが補完し合え、
その時々で、選択できることで強靭な持続可能な社会を支えることに貢献できるのでしょう。
品質保証制度や保険が充実して普及してきても、
実質的には、例えば「全壊か」「半壊か」の見解で差が出るようなので、
掛け金が無駄になるのではと、
「仕方がないのかな?」と考え続けております。
話がそれてしまいました。
ここで、問題となったのは、米国の恐るべき新型コロナウイルス感染状況から、
構造材、梁に用いる米松、その集成材が、輸入材ということで、入手困難となり、
いつ入荷できるか不確かな状況となったことでした。
いつも協力的で、友好的な建設会社担当者から、
その問屋やプレカット工場にお願いしてもらい、
調達可能な材で、再度、構造計算して、計画変更の確認済証も受けましたが、
状況の変化から、それでも構造設計通りの材の入手が不確かで、
施工中に変化する危険も懸念されました。
何よりも、一時的な状況により、
構造的必然性、合理性を欠いてしまうのが問題と残るのです。
戦後の焼け野原の中から、調達可能なもので雨露しのいだ状況ならば、
元々コストがかからず、
そのコストを生きて良い結果となり存在し続けるかどうかと気にするよりも、
迅速な復興を望むでしょう。
しかし、ここでは、構造的合理性から生成されない結果が残るのは、
長期的にバランスを欠いた結果が問題となる可能性を残し、
将来的に荒廃を招く一端になると感じられました。
その中で、民間建築審査機関の構造担当者から、
計画変更の事前相談時に、
「まだ、プレカット担当業者は、決まってないのか」との切り出しの言葉が
頭の中を残響しておりました。
地産地消を願っており、2014年に工場見学に参加し、長年、採用したくても、
入手ルートの為に、それまで実現が出来なかった、
江戸の西から流れてくる寒く霧の起こる環境から育まれて成長に時間がかかるが、
強い構造材となるという、飯能産の西川杉を思い出しました。
しかしながら、元請施工会社から、
長年続いている問屋との関係を大切にする姿勢の為に、
固辞され、避けられたのでした。
この件でも、3社から断られました。
そこで、米松など輸入材を多用する木骨構造を実現するために、
やはり伝統的ではない新しいルート、システムに馴染んでいた、
伝統的なシステムを知り尽くし、強固な関係も長年続いている、
老舗ではあるが先駆的でもある元請施工会社を思い出しました。
少々、現場からは距離的に離れてしまうのですが、
都内の道路整備後の昨今の状況を信じました。
そうして、羅針盤をもって、時代の要請に応じて、
元々、先端的な動きに乗っている力のある建設会社に相談し、
先行した西川スギを主とした構造材の内訳明細を軸とした計画変更その2の設計内容、
詳細図で進めるという条件に合って、
元請として受けもらって進めることに成りました。
プレカット技術担当者から、
満面の笑顔で「頼もしくすごい元請さんで、良かったですね〜」と。
それらの全体像としては、
川沿いの地盤と敷地割からの建物形状とプランを、
壁で構成される面材の性質が、
その実現の鍵となり、壁体内結露が起こらないように、
断熱性能を上げて、硬質セメント板の断熱工法で、
1時間の準耐火性能の外壁を望み、
ビルマチークに合う左官壁を願い、
繊維強化や樹脂系接着剤の化学技術の洗練と普及の恩恵を受けて、
エコからも遮熱性能が高く防音性能も期待できるガイナ塗装としました。
また、木造の強さに見合う重量の
工芸的な金属製手摺や面格子のメーカーに拘りました。
こうして、時は流れ、生きているプロセスは、
生まれつつあるものから育み続けるのですが、
常に、予算内で最大効果を狙い、ベストプライスを求め続けます。
照明プランも品番を記して図面化していましたが、
ファサードの画竜点睛とのなるブラケットが、
製造中止、在庫なしの状況となりました。
焦って、探したところ、最も合っている同じデザイン、
性能で、小さめのが、唯一見つかりました。
しかし、実際、建物正面に取り付けるとすると、
小さ過ぎるとシュミレーションでわかりました。
その時、ファサードは、エントランス・ポーチの庇と方杖に合わせて、
また、上方に窓が2m以内にあるので、防火から必然的な板金庇で、
コストからシンプルにしたものの耐風性に懸念があったので、
屋根やポーチの庇と同様に、階段踊り場の片上げ下窓の庇も、
棟梁、長橋氏の全体性への理解と判断により、
その窓幅に合う庇が方杖により強化されました。
そして、より全体性に貢献できる方向に向かってグラデーションを描いており、
それを強化するべく、
3つ目の窓で、軒下の点となるブランケット照明は重要でした。
それは、正面全体を構成する建物の個性を表す、
3つのベイ、壁間があり、
左側には各戸のバルコニーの手摺組で縦線をやわらげて、
その手摺を右側の窓と庇によるグラデーションの中間で、
同じ手摺組のような面格子で、全体性を強めるように融合させています。
3つのベイと手摺縦格子のつながりがあるので、
バランスが取れて、全体性を強めるグラデーションとなります。
そのグラデーションの頭となる部分で、
ライトが小さ過ぎ、そのライトと上の窓との間に、何かが必要となりました。
それは、銘板でした。ロートアイアンで、
建物の感じを結び、
グラデーションとなる形を強めるプロポーションとボリュームが要されました。
そして、ライトの下で、
外壁にシルエットを写すようにライトと看板の一体性により、
その下に続く窓とのスムーズなつながりをまとめ、
そのグラデーションの形が、方杖のある建物の形、全体性を強めるのです。
一方で、道空間を滑らかに心地よくするために、
バルコニーは、飛び出すことなく、のっぺらになりがちなところ、
庇やバルコニーの開口部の建物表面の凹凸は重要で、
庇や方杖は、内樋を美しく支持する二次的構造という意味と同時に、
形の上からも強化しているオーナメントなのです。
逆に、当初からの左官外壁のクラック予防としての、
寒冷紗、メッシュ伏せ込みに加えて、
更に開口部へのその補強をすることから、
左官の外壁への水平な金目地棒の全体性を強める意味は
薄れました。
更に、角の取れた丸い出隅は、
間口と建物高さの関係から、細長くなる形を和らげる効果が絶大で、
それは元請施工者、海老沢氏の経験と創造に貢献する情熱による機転で、
アールの付く出隅のために、左官の鏝のサイズ指定から、可能となったものでした。
それにより、異なる構造面材上の仕上げ下地の切換が、
より強化されて、竪樋の見え方にも良い効果をもたらしたのです。
これらは、既存の構造の保存し強化するプロセスは、一端です。
日々、全ての判断、計画中でも設計中でも、見積調整中でも、
施工中でも絶え間なく続いています。
生きているプロセスである以上、
オリンピック関連施設建設や整備による建設価格上昇や、
新型コロナウイルス禍など、何が起きるかわからないところ、
首都圏直下型地震の確立が70%以上という中、
それでも萌芽を見出し、育て続けて、在り続けて、
維持し続けられるようにと祈るのです。
次回は、難関であった「ポジティブ・スペース」について取り上げます。
どうぞ、お楽しみに 〜♪(@^^)/~~~
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