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      よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪2018年1月7日号

             〜・ONENESS、一体感からの微笑み・〜

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迎春 

明けましておめでとうございます。<(_ _)> 

戊戌の新しい年、皆様には健やかに初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年末から慌ただしく日々を過ごし、戌年の春を気持ち新たにして迎えて、

松の内まで穏やかに過ごしております。

さて、戌年の私は、中盤の節目として、
日々、初心に返って「微笑み空間」の微笑みについて思い起こしております。
仏陀の微笑みのような、蓮の花が早朝にポッと咲いて、一瞬、空気が緩む、宇宙が緩んだような、
自らが宇宙に溶け込むような一体感、“
Oneness”を意味しており、
仏像のような、アルカイック・スマイルに通じるものを意図しておりませんでした。

 勿論、仏像には様々な表情をしておられて、口元には「永遠の微笑」を浮かべており、
それは慈悲の教えと仏像彫刻の表現から生まれたとされてます。
そして、地中海の太陽の下、大理石の陰影から浮かび上がるギリシャ彫像の口元の、
アルカイック・スマイルとも一致するものです。
それでも、共通しているのは、
自制と克己から生まれる関係性の中でのバランス感覚、平衡感覚だと感じております。

  具体的な状況の中で、何かと向き合って関係性を問う時、
または何かと何かを比較して選択する時に、
“Oneness”を感じられるか、その状況の中で、或いは自らとの間で、
一体感を感じることができるかと問いかけて、
実際に選択するC.アレグザンダー教授の講義の一コマを、時々、思い出します。
何かの好き嫌いや趣味や嗜好を問うているのではなくて、
「塩の入ったガラス瓶と、ケチャップの入ったチューブ」を比べて、
どちらがあなた自身かと問われるのでした。
The Nature of Order:秩序の本質」の講義でしたが、真鍮の振りかけ蓋つきガラス塩入れが、
より“Oneness”が感じられるということで、
それは、腰掛ツールとベンチや、外構や庭や建物だけではなく、
釘やスプーンにまで及び、問われて、比較して選択するのでした。

  それが、引き戸の取手を、400近くある中から選択する時や、
住まい手の要望を踏まえて限られた状況から
システム・キッチンを共に選択する時など様々な場面で役立ち、
アレグザンダー教授に手を合わせる思いになるのでした。

  アレグザンダー教授は長年、日々、「A FORESHADOWING of 21 ST CENTURY ART」で紹介、
記述されているようにアナトニアン・カーペットなど中世カーペットの図柄から、
幾何学的性質の研究を進め、「
The Nature of Order:秩序の本質」がその成果となったのでした。

  丁度、私が修士課程を終えて、カリフォルニア州立大バークレー校の研究員として招かれ、
キャンパス内の教員用宿泊施設に泊まって、
サン・ノゼのホームレス宿泊施設の食堂ホールの内装工事計画のコンサルとして、
生徒と共に関わっていた時でしたが、上記の本が出版されて、
サンフランシスコ州立美術館でアレグザンダー所蔵のカーペット展覧会が催されて、講演会もありました。
カーペットの色・図柄について、幾何学的視点から、詳しい解説、研究発表がありました。
その時、私は、かなり小さなスケールの詳細部分として受け取りましたが、
その後、街の街区の構成や、ゾーニングや、構造と天井の内装の関係や、家具や、
すべてに通じる有機的秩序を把握する鍵であると認識しました。
 
 そして、生きている構造について、入間市のEISHINN SHCOOL、
東野高等学校の大講堂内装の梁の柄のラインについての指摘を思い出しました。
決してなだらかのみではなく、躍動感、生命力が感じられるラインでした。
更に、メリー・ローズ博物館のホールで、構造的に意味のない柱の、幾何学的重要性について、
13世紀のドライドッグに負担を掛けないようにと、
少しでも軽量化したい構造担当のゲーリー・ブラック教授は、
顰め面をしているところ、カーペットの図柄の説明を思い起こして、
関係性を強化してホールを生きている構造とする、
海底から戻った15世紀の戦艦の安らかな胎内のような永遠の地として、
ホールをゴツゴツギザギザではなく、
卵の中のような断面形に成り立たせる重要な要素として、
直ぐに20分の1の模型に組み入れました。

 カーペットではないけれども、アレグザンダー教授は私に、
着物の図柄から研究するようにと指導しました。
その頃、教授は千代紙の和紙の冊子をスケッチ帳として愛用してたので、
東京へ戻ると、黒谷などで千代紙を時間をかけて選んで購入して、
壁に張ったり額に入れたりとして観ておりました。

 数年前に、上野の東京国立博物館庭園の春草蘆などで数回、茶会があり、
これは良い機会といそいそと、久し振りに着物を着ましたが、芸大の前野教授が、
私の着物や帯の図柄も全て簡単な解説付きで言い当てて、私は何も知らないと自覚し、
それから紋などの図柄から学ぶよう心しました。
すると、それらから幾何学的性質が見えてきて、
アレグザンダー教授の意図するところが具体的に呑み込めました。
それでも、能衣装の写真も著書の研究材料としてあり、仏教柄か霊魂が浮かんでいるのか、
生命のエネルギーが浮かんでいるのか、図柄についての問いに対して、
言葉に詰まって不確かな応答しか出来なかった私に、
「誰も答えないな」と教授が不満そうに言ったのを覚えております。

 それから、図柄を見ると何を表現しているのか気になるようになりました。

そうして、内装のビニールクロスを現場でサンプルを壁に貼って比較して、Oneness感じるかどうか、
一つの建物全体で貢献するかと問い、実際の一つの選択案まで2週間かかることもあります。
写真では、ビニールクロスの図柄や紋は判明せず、ただ白系に見えるかもしれませんが、
部屋の性質や感じに大きく影響します。
住まい手も「ご飯を食べてくつろぐ部屋で、四角や菱形はきつい」と感性豊かで、
奥様の「これが良いじゃない」との肩押しのお蔭で、無難な線から脱皮して、
初めにこれが良いと選んだサンプルに戻ったのでした。Onenessを感じた時の一つです。

 フローリングの板張りでも、メーカーからの段ボールから出すなり張るのでは、
板の色味や節の位置が確かめて全体の感じに貢献するかは不明のまま、ただ張っただけとなります。
「すべて仮置きして、気に入らなかったらメーカーに突っ返せばよい」という根っからの数寄者の施主様でした。
修行を積んで腕の良い棟梁は、その気概を組んで、
板を各々適切な位置と組み合わせでパズルのように選んで張ったので、
その床の質は全体性に貢献することとなり、施主様との間でOnenessを生むこととなりました。

  次に、同じ住まいですが、耐震補強工事をして、床下も強化されたことから、
安心して、これまでの使いやすい動線を生かして、2階のキッチンを更新することとなりました。

そこで、いつも心掛けるのは、新旧の、パリの室内で見られるような欧州的コントラストではない、
溶け込み、一体感です。

それは、メーカー品のオンパレードではなく、メーカー品で古い部分を隠すのではなく、
必ず、手仕事が肝要で、つなげて溶け込ませて、全体性に貢献することとなり、
住まい手との一体感、Onenessを生むのです。

 既存の木の飴色に合わせて選んだシステム・キッチンを、部屋全体、建物全体に貢献させるのは、
水平線を強調して、幅広いテラス戸やテラス、そして広々とした庭の樹木へとつなげていく為に、
棟梁は努めてくれて腕を振るわれました。

加えて、この建物に貢献する、この住まいの結晶のような食器入れカウンター(賀状の写真)は、
長年のご飯の支度から、この位置でこの大きさで、腰をいたわりすべて引き戸でと奥様が要望されて、
既存の建物の壁や木の色の外観で、新しく、家具専門の腕から気密性も良く、
ドッシリとして、誰が寄りかかっても動かない家具となりました。
 計画設計中から、軽くする意識はありましたが、既製品の籠・ネットの引き出しや、
システム・キッチンのように浅い立ち上がりにバーだけでは、日常、ラフに使用している内に、
引き出しの裏に物が落ちて、一刻を争う料理中にかなり面倒なことになると注意して、
6mm厚さの合板では軽んじている感じで、気が引けておりました。
 さて、出来上がって、上の2段は問題なくすーっと気持ちよく引き出しを引けましたが、
下の大きな引き出しが、片手では難しい程、重たくなりました。
 ふと、表千家好みの小棚で、好文棚や鱗棚を思い出しました。
棚板に梅の花や香炉の輪郭や、三角形が透かし彫にされて、光を入れ中を見せて目を楽しませ、
棚という全体性や、何か意図のある茶席の命を強化する効果がありました。
 そこで、徐に丈夫な紙を型紙として、カウンターの下段の引き出し内の立ち上がりに、
透かし彫りを入れる図案を考えました。
勿論、実現するために施工性を考慮しシンプルにして、
アレグザンダー教授の教えを思い出し、幾何学的にも脆くならないよう均質にはしない図柄、
軽量化につながるよう検討しました。 
I建設会社は創造的仕事に理解が深く、
ミサイルが飛んできても非難したら安全そうな秘密基地のような地下作業場で、
型紙を引き出し内の立ち上がりに位置決めしてから、
工事担当者自ら、その型紙のラインに忠実に穴を開けました。感謝感激でした。

 その翌日、現場に設置して、穴の周囲のサンダー掛けを終えたところで、施主ご夫妻がご覧になり、
「すかし彫って、これかぁ・・・本当にオリジナルになったな」とカウンターを撫でられました。
ご主人自ら、掃除して皿を洗って天日に干して、食器を収められるとのことで、恐縮でしたが、
時を超えて愛用されるように願ってと、応答いたしました。

 長くなりましたが、初めに戻って、
何事も学び続けて、気が付くことが出来て、実践につなげて、
Onenessを感じることが出来れば至福と、
アレグザンダー教授に、茶道に、着物に、施主様との出会い、施工者との出会いに、天に感謝と、
合掌致します。

 どうぞ、皆様もOnenessを感じられる機会の多い、一年となりますように〜☆彡

それでは次号をお楽しみに〜♪〜〜〜(*^^)/~~デハデハ

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