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   よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪20140818

    〜〜生成された構造・生きているプロセス・住宅例その2〜〜

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 残暑お見舞い申し上げます。

 夜空の秋の気配から、コスモスが風に揺れて輝く頃も近くと感じられます。(*^o^*)

さて、前回から、「生成された構造」について、「生きているプロセス」とはどのようなものか、

今日、普通と考えられている「組み立てられた構造」や一般的な建築のプロセスと、どのように異なるのか、

私もバークレーの
CESで仕事をしている間に加わった住宅プロジェクトの例をご紹介しております。

このポピー・レーンの家から理解を深める切っ掛けとなればハッピーです。

一つ一つが生きている命ある建築なので、一つ一つ異なり、この通りに進むことはないですが、

本質的で、状況に応じて各々に適合できる可能性があり、

私にとって教科書的な例です。

その時々の様子などを思い出しながら、拙くも和訳しましたので、

クリストファー・アレグザンダー著「
THE NATURE OF ORDER BOOKU」の

577ページから582ページまでを読んで参りましょう。

また、原文でご覧になりたい方は、こちらから、

どうぞ、ご購入を〜↓

 http://www.natureoforder.com/

 さあ、始めましょう。

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 5 最初のスケッチ

(ストリートから見える家の眺めの最初のスケッチ: 
このスケッチは、ラフなスタディ模型では致し方のない扱いにくさから粗く無骨であったが、
新たに全体に及ぶシンプルさを加味している。)

 敷地に建物の配置を示す仮杭を打って、

その物理的な特徴や陽光や窓についての最初の見通しを得ることが出来ました。

 この段階で、小さな鉛筆描きのスケッチに家のフィーリングをまとめました。

 このスケッチを作成するプロセスは、展開においては別のステップです。

これまでバルサ模型から解った建物ボリュームは、全体として、あまりに荒く、あまりにゴチャゴチャとして、

十分に調和しているものではありませんでした。

私は、構造を単純化して、ストリートの感じと一貫した一つの建物形状をつくるという飛躍のために、

敷地において建物(模型)から何が見えるか、一緒に集めてみました。

 このステップは、ストリートを大切にして、

バルサ模型に拠るよりも、

多くのボリュームからなる建物であることを示す

より一貫とした構造に到った構造保存プロセスです。

全て既存の構造を保存して曇りなく明らかにするプロセスで、

「シンプリシティ」と「内なる穏やかさ」を備えて現れてきた全体性を導いたのです。

 このスケッチ上で、出現してきた建物は本質を備えていました。

それは、規模を明らかにし、組積造で、列柱のある上階のバルコニー、陽に向かって膨らむカーブがあります。

南に向かって膨らみながら、眺めへの応答として生成された弓型です。

そして、小さなテラスの壁です。

上階のバルコニーは、テラスがかなり小さいので建物の正面の壁から引っ込んでいます。

それは、更に上階のプランを示す前の、展開における眺めとなりました。

このスケッチと完成した建物では、詳細においてはかなり異なったものであるにも関わらず、

広義の形態論的全体性への飛躍です。

これは、初めに広範囲の構造をつかみ後で詰めていくという、

展開していく中で次々に詳細をかなり変えることになっても、

典型的な基本的プロセスです。

 このステップの間、既存の庭のセンターと、道路と周囲の土地のセンターの保存は、大変重要なことで、

敷地の全体性の保存がプログラムを通して先行課題でした。

そして建物に「良い形」が現れてきました。「ラフネス、粗さ」がエントランス通路、小道に現れてきました。

テラスは、ひとつの「バンダリー、境界」として形造られてきました。

 6 近隣の眺めを点検する

 

 (隣家の眺めを維持するために、地面近くへと建物を下に詰める。)

 私たちは、更に、近隣の眺めの構造を保持するために、ボリュームを修正しました。

 ボリュームを確かなものとする為に、敷地に戻って、

数人で長いツーバイフォー材を垂直に、建物の最高高さと、屋根端などと、実際の位置で立ててみました。

それから、私たちは、その隣家まで登って、その居間に入り、そのテラスに出て、

ツバイフォーの立っている場所に計画している建物が建った時に、

そこからの眺めが残っているかどうか確かめました。

私たちは、その家の皆の部屋の窓から、デッキから、庭からと至る所から外を眺めてみました。

 この実験から、私たちは、隣家の眺めと私たち自身のために

出来るだけ登り斜面から出っ張ることなく、

建物の後ろ側で、既存地面からの高さを
3.3メーターよりも低くして、

正面側で地面からの高さが5.7メーターを超えないようにするのがベストであると解りました。

それらの高さは、等高線が描かれている図面に記録されました。

この洞察は、バークレー丘陵において広まっている知見とは異なっており、

それは下駄を履かせた建物にするべきというものでしたが、

建物をずっと敷地の前面に出し、高くするもので、

2階建の建物としては地面から7.5メートルから9メートルも高くなるものでした。

この空中へというアプローチは、最も安価な基礎工事費ですむということから生まれて、

それ故に一般的になりました。

それでも、私たちはより高価な斜面の地盤を深く掘って杭を打つ基礎を選び、

丘と、庭と、近隣からの眺め保存したのでした。

 全体予算の為に、この高い基礎は、

その後の他の工事項目への予算配分を抑えることで支払わなければなりませんでした。

 展開におけるこのステップの影響から、建物は等高線に沿って細長い家となり、

「良い形」と「深い噛み合わせ」が建物のボリュームの中に導かれたのでした。

7.間取りの出現

 

 最初の部屋と部屋の配置の大まかな考えは、

基本的なプロセスと、建物規模から中に入って行くことにより、現れました。

 私の初めに考えていた家は、大きなカーブがあり、

スケッチを見ると、素晴らしい居間が、陽光に満ちて、家の中央にありました。

エントランスは、片方の端です。(スケッチプランから左に位置してますが)

他の部屋は右側にグループとなって丘状の斜面に沿って段々になっています。

家には北西から入って、上階への階段は家の裏側と考えられていました。

区割りの拡張:小さな梅の木

 

   さて、私たちは、より深く土地の構造を保全するために、

その住宅に深い感情的な効果をもたらす小さな梅の木のある僅かな部分の土地を、

クライアントが購入するようにと企て始めました。

 これまで展開してきた家の着想において、エントランスは、ポーチがあり、西端にあったのでした。

頭の中で描くと、敷地に建って大体のポーチの場所を決めると、

そこに在ると目に入る素敵なエントランスにするには、西端の境界線が本当に近過ぎました。

加えて、住宅の延べ床面積は敷地面積の40%と容積率規制が、市の法令でした。

大変小さい土地を与えられて、展開してきた建物の構成配置は、

少し小さ過ぎる家を強いるだろうと感じていました。

 私が立った所には、敷地の西の端でしたが、丁度、小さな梅の木の隣でした。

美しい場所で、平らなテラス状地面と花々と2脚の椅子が置かれていました。

それは魔法と楽しくなる好ましさを備えて、それ無しでは、

敷地を本当に好ましくならないであろうと感じられる程でした。

私は、クリスとステファニーへ西側の梅の木がある土地の小さな部分が、

ホーチに命の煌めきと少しのスペースを与えることから、

エントランス・ポーチのために必要と切り出し提案しました。

 展開においても、同じポイントが理解されたでしょう。

その敷地は住宅を大体のところ配置し、小さな梅の木で一つの複合体を形造りました。

この複合体において、梅の木自体とその空間が、

未だ潜在的な本質的なセンターを形成することに、つなげていくのでした。

この潜在的なセンターは、家と木が一緒になって一つの素晴らしい「事物」を形成する潜在力を備えている、

家の西端を美しくする力を秘めていると、シンプルな記述で十分です。

しかしながら、そのセンターは、殆どすでに、そこに在るようでした。

故に全体性の展開において、このセンターは、保持されて、大事に育てて、拡張するべきものでした。

敷地で体験したところ、それ無しでは、敷地が損なわれてしまうのでした。

 私は、クリスとステファニーへ、

小さな土地の購入について切り出す為に売り手側を次の打ち合わせ時に加えることを提案しました。

最初、土地の所有者は拒みました。

私は、この斜面地の敷地区画に規定されている容積率で必要とされる家を建てることは、

その小さな土地を加えること無しには、殆ど不可能であると書面にしました。

私たちは、数週間、話し合いました。最後に、彼らは売ることに同意しました。

それまでに、建物を建てられる敷地の大きさを調整するために、

特別で正式な土地測量を驚くほど沢山していました。

 この小さな事柄のために、3か月掛かりました。

ただ一つの目的の為に、本当に、その一つの存在しているセンターの為にと強調します。

そのテラスや、そのキッチンポーチは、

既存の梅の木によって創られているセンターを用いることで、可能となるのです。

事を進める中で、様々な微妙なステップが、容積率規制の法令の間で境界を正しくするのに必要であったのですが、

例えば、数フィート大き過ぎて、元々の所有者の土地建物になってしまわない様にと。

私たちは、売り手側の庭や、そのエリア全体やテラス塀や灌木も含めて、

それらの美しさも強化するように境界を割り出したのでした。

 その土地の小部分は、梅の木を加えて妙な形状となり、いくらか法的に厄介なこととなりました。

しかしながら、この面倒なことは、全体性に貢献し拡張しなければならないというルールに従うとなると、

解決しなければならないこととなります。

この全体性への献身は、梅ノ木を守って織り込んでいくことが、住宅設計のプロセスと配置を普通ではなくするのでした。

それは、皆に全体性への意識を持たせ、プロセスの中に特別な命を吹き込みました。

住宅自体にも、莫大に恩恵をもたらしました。

 新しい敷地の妙な形状は、展開の結果として存在する「ラフネス、粗さ」が完璧な例です。

元々の敷地の形状は殆ど五角形でした。

全体性を強化すると、敷地形状は、小さな部分が大きな部分にくっ付いている不規則な多角形となりました。

「ラフネス」が、展開のプロセスから、直に起きたのでした。


9.プランの感じについてのより深い問い  

                 

  私は、住宅の中の主要な部屋の配置について問い掛け始めました。

 これまでのプランの進化の中で、一つ一つ実際的な点を気を付けて注意していくことから、

多かれ少なかれ、確かな好ましい感じが現れて来ていました。

庭と道路の保存や、建物ボリュームがセットバックして、

テラスの大きさを心地良いものにして、小さな梅の木の美しさを大切にしてと。  

 しかしながら、日常的な情緒への注意を払う中で、何かが時々、間違った感じを経験させることになります。

作業は、いつも正しい方向に進むとは限りません。

その時は、間違った形となる直観を止めて、極端なコストの反動なしに、

形状の深い特徴を守り、適切な時に変えていくのです。           

 これが、家の屋内を展開するなかで起こったことです。

これまで、建物規模と敷地から、左端のエントランスの配置から導かれてきたことが、

1階の大まかな間取りの考えとなりました。

表玄関は左端にあり、それからキッチンで、それから建物中央の大きな不定形の部屋で、

それから右に進んでスペアルームか書斎みました。スケッチの通りです。

 敷地に立つと、この構成で良いものか気になりました。

居間の採光状態が美しくなく陰気かもしれない、

エントランスからキッチン、居間と長すぎる動線で厄介かもしれないと気付いていたからでした。

それから、アプファン家の、彼らの関係性の特徴や、彼らのフィーリングや、

一家の生活の真の性質から自然に起こった間取りではないという不安な感覚も抱いていました。

端的に、気持ちよく宿ったこの家は、深いフィーリングとして、

彼らが体験するには未だ不十分であるとぼんやりとした感覚を持っていました。

それは家族生活の中心、心に行き着いていませんでした。彼らはそれを知っていました。

 拠って、私は、彼らに、私的に、私の家へ来て、数杯飲みながら、話すようにと提案しました。

それで、私たちは、私が感じていた不安について話し合うことが出来ました。

10.居間のより深い概念

 展開のプロセスは、ここで決定的な傾向を取りました。

一家の日常生活の感情的な構成を再審査すると、

基本的プロセスは、私たちを皆、居間の性質の新しい感覚へと導きました。

 クリスとステファニーが、私の家に訪れた時に、私は彼らに尋ねました。

すでに想像できる段階に至っていたので、家におけるメインのセンターについて、

より詳細に、述べるようにと。

私は、確り集中して、再び、家の鍵となる主要なセンターについて、出来るだけ鮮明に述べるように頼みました。

議論の間、ステファニーは遂に涙を流し始めました。

彼女は、まだ本当に十分には彼女の家族について述べていなかったからでした。

私には、彼女の涙は、

とても成功している子供服の工場の社主であることによって失った何かの為の悲嘆であったと思えました。

暖炉とこじんまりと集まれる心地よい椅子数脚のある小さなバラ色の部屋のビジョンが、

ゆっくりと生き生きと表されました。

おそらく、彼女の嘆きから直接に起きて、彼女が癒されるところの心地良い場所でした。

それは、簡素で、小さくて、温かくて、「良い形」と「ローカル・シンメトリー、部分的な左右対称性」により

力強く形成されるものでした。

 プランの中に深く留めて、どこかその中核で、私たちは暖炉により小さなセンターへの強化を思い描き始めました。

初めの頃のプランに描かれていた元々の広い居間の感じとは全く異なっていました。

この新しい部屋は、小さくて深く心に留まり、熱情的で凝縮したものでした。

それは、センターのセンターでした。

 この深く横たわるセンターは、ステファニー・アプファンのフィーリングの性格から、

構造保存変形から起きたものでもありました。

 私は度々、15の性質から探すのですが、この場合、小さな塊のようなバラ色の芯で、度々、殆ど原型的な形で、

人々が本当に持っている深いフィーリングに確りと執着することから出て来たのでした。

それは、彼女ではなくて「
I、私」で、これを光へと運んだプロセスを始めた者でした。

しかし、それは彼女のフィーリングで、彼女の家族生活の現実において、それを真として、

それを展開のプロセスの生産性のある本質的な部分にしたのでした。

11.土地に横たわり出た住宅

 
(テラスと建物ボリュームの南面を形造る初めの数本の杭。)

 さて、私たちは、詳細にわたり、この住宅の足跡の物理的な形を確立しました。

 1階の間取りがより明らかになり、この中核との関係性から1階の他の部屋も明らかになり、

CES副所長のゲーリー・ブラックと同僚の一人のスティーブン・ダフとアプファン家と私は、

地上階の部屋部屋と、間取りを全て、出来るだけ正確に地面に仮杭を打って、

その時、私たちが確立したと知ったのでした。

 その後、それらの仮杭の作業から、住宅の形状の正確な図面を作成し建設出来たのでした。

その時が、土地との関係性に基づいて、その詳細を理解した住宅計画の正確な絵、図面を見た最初でした。

 私が強調したいのは、仮杭を打つことが最初で、図面を描くことではないということです。

これは、初めに建物の図面を紙に描く、より典型的な建築家が行っているのとは反対です。

紙に最初に描かれた図面の通りに仮杭を打つのではなくて、図面は、仮杭から作成されるのです。

 仮杭が打たれる中で、多くの設計のポイントがより明らかになり、

例えば、「厚い境界」としてテラスのある正面の外壁の特徴や、

別の厚い境界が「強いセンター」を造る登り斜面に面する背面の擁壁の位置などです。

☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜☆☆〜

お疲れ様でした。

15の幾何学的性質からいくつかが、生きているプロセスからの、

生成された構造の中に現れ出して全体性を強化して行き、

当初から意図しているのではないと、

更に、15の性質以外に、幾何学的性質はあることが、

再確認も出来ましたね。〜☆ハッピー\(^O^)/ 




                                        by Miyoko T.in C.E.S.in 1991-1992.
どうぞ、次回をお楽しみに〜♪

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