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よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪
*生成された構造について2*
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葡萄の収穫が楽しみとなる頃ですが、お元気ですか。
さて、前回に続きまして、今回はある近隣住区再生から「生成された構造」が
どのように生まれてくるか見てみましょう。
(図を大きく見たい方は、
どうぞ、こちらからクリストファー・アレグザンダー教授の著書、
「The Nature of Order 3」ご購入を↓
http://www.natureoforder.com/ )
最後に、建物の生成された構造を幾何学的にざっと把握してみましょう。
結局は、大きなスケールでも、中位のスケールでも、小さなスケールでも、
カーペットの様な平面、2次元の上でも、空間といった3次元の上でも、
生成される構造、生きるプロセス・・・同じと考えられるのですね。〜☆
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生きている世界のビジョン
<繰り返し生成された構造を形成する流れ、
つまり密度を変え、経済生活に梃を入れ、
成功している家やビジネスには触れずに、
建物と道路空間の適合の為の修正である、
生きているプロセスが導くことができる
都市化された近隣住宅地区の再建>
「The Nature of Order 3」p283〜310
成長する都市と、修復される都市
現在の都市の姿は、美しく首尾一貫したものではなく、
どちらかというと地上で、雑然と蔓延っているようなものです。
私達は、この無秩序に蔓延っていく(往々にして大規模ですが)開発のために、
惨めさや貧しさを生んでいる方法について再考しなければならず、
徐々に、人間らしい要求と調和し、植物や動物や気候からの有機的要求と調和し、
車両交通や輸送や製造と情報化された都市環境と緊急に調和していくプロセスへと
転換していかなくてはならないのです。どのようにしたら、出来るのでしょうか。
さあ、ある近隣住宅地区を、
そこが人間らしい情緒を養い育てる環境としていくことから始めてみましょう。
<二つの全く異なった住区における深いコントラスト
:20世紀規範からの不健康なパターンと健康的なパターンのための新しい規範>
まず、バークレーに在る4つの街区からなる住宅地区を見てみましょう。
正しく、アメリカの現代都市の典型ですが、
同様のものが、アフリカでもオーストラリアでもロシアや中国などでも見られるでしょう。
次に、ここでの、生きているプロセスの類から起こる結果である
シュミレーションを見てみましょう。
同じ密度で、同じ住戸数で、同じ駐車場台数です。
しかしながら、前の例とは全く、全て、異なっています。
こちらの方では、全ての点で、親しみやすいユニークさがあります。
家々は、快適な空間を生み出すべく配されています。
植栽空間は、私的な庭である時、広がりを持って生き生きとします。
結局、(黄色く描かれている)歩行者用道路や路地は、
首尾一貫したセンターといくつかの補足的センターを形成し、
この住宅地区に公共の感じ、一つの心、中心を与えています。
自動車が支配するのではなく、
そこに行儀よく適合すべく車両空間は縮小されて、
生きている構造である皆の住宅地区を壊すことは許されないのです。
対称的に、前の例では、人間らしい目的の為には、多くの地面が無駄にされていて、
より組織化された計画です。車両用道路が攻撃的に空間を独占しています。
自動車が公共用地を独占しています。
歩道はかなり狭いのが、黄色く裂け目のように描かれていることから、それが解ります。
人々が、気分転換したり、息抜きをしたり、好ましく人付き合いをしたり、
談話したりすることは出来ないのです。
区画割りのプロポーションから、道路からの後退の規則から、庭空間が用意されていますが、
宅地自体が、細長く組織化されていますから、それらの半分は使えないもので、
隣同士で、力を合わせて少しでも心地よい喜ばしい庭空間を創ろうとは、誰もしないのです。
最後に、その家々は、細長い宅地から、細長い形の列となって、
それが唯一、土地と調和するものなのです。
家の、形や、方位や配置を設計する余地はないのです。
全てが、美しい光景ではなく、全く住むに心地よいものではないのです。
<黄色と緑色と灰色と赤色のパターン>
これらの二つの例を比較する為に、
一つの近隣住区における主要素の全体に亘る構造に、注目してみましょう。
このようなその全体への視点は、前に上げた地球上のどこでも通じるのですが、
どんな住宅地区も、
4つの相互に組み合わさっている要素から成り立っていると考えることが出来るでしょう。
歩行者空間(公共外部空間や、広場やたまり場や通路やアプローチなど屋外空間や、路地や歩行者道路を含む)と、
庭(私的庭)や、建物(家や店や事務所など)と、自動車のための空間(駐車場や自動車路)です。
これらの4種類の為に、どのような住区でも、多かれ少なかれ、空間が構成されているのです。
それらは、本当に基本的で、どのような住区でも、
それらの4つの要素の組み合わさって絡み合っての配置構成から、主たる特性や性格が備わるのです。
歩行者空間と建物と庭と自動車空間という4つは、一つの住区を一つの有機的分子と捉えると、
炭素と酸素と水素と窒素(C,O,H,N)のように住区の命にとって根本的なもので、
それらの組み合わさり方、結合の仕方のパターンで何になるか決まるようにです。
それは、幾何学的形態でありパターンです。
それら4つの結合の仕方で、人間らしさや人々のために有効であるかどうかに作用して、
どのような住区の類か明らかになるのです。
なかんずく、それらの4つの配置と結合が、住区の全体性を明確にするのです。
これは、普通ではない見方です。それは、辺りを歩き回って解る方法ではないです。
しかしながら、もしも、私達がその住区の構造を理解したいのならば、
一つの全体として理解したいのであれば、それら4つのパターンから、把握することが出来るのです。
この全体性についての理解を容易くするために、
歩行者空間の黄色と、公共外部空間と、建物の灰色と、
車とパーキングという自動車空間の赤色の4つの色のひとつのパターンを考えます。
それら住区の全体性は、そこにある4色の特定のパターンにより描かれています。
それら4色を互いにそれぞれが、個々の部分をより強く生きているセンターとしながら、
それらの形や関係性をより強めながら、全体に貢献する適当な比率となるよう変えながら、
相関的にサイズや配置を修正して、それぞれの転換を導くことが出来るでしょう。
それらの転換が成されるとき、秩序は正確な展開から起こり、
それは、例え経済的困窮から始まるとしても、一つの都市住区を新鮮にし、
人間生活を健やかにし、人の命を育てることのできるのです。
<黄色と緑と灰色と赤のパターンは、どうあるべきか>
其々の近隣住区は、勿論、密度や文化や気候や立地に従って、
それぞれ異なる4つの色のパターンを持っているでしょう。
しかしながら、生きている構造をつくるために、
4つを一つにしていく方法は、むしろ、一般的観察で。
最重要なのは、それら描かれている4つの色の相関的比率や量や面積によるパターンの様相です。
今日の典型的住居地区は、4つの色の比率における関係は、往々にしてかなり悪くなっています。
通常、黄色は小さ過ぎて、赤色は大き過ぎて、緑色は余った部分のように構成されているものとは言えず、
灰色は、時々大き過ぎる塊となっています。
これは、バークレーに実際ある4つの街区からなる住居地区の例から、容易く見て取れます。
この不健康な今日的な住区の4つの色の比率は、黄色が4%、緑色が28%、灰色が23%で、赤が47%です。
これは、本当に悪いことに、アメリカ中に亘って、多くの住区に当てはまることです。
これでは、本当の近隣社会を築くことは出来ないのです。
その配置計画を見る前でも、ただ4つの色の比率から、
それらの数字が反映したものとして、既にその悪い質が予測できるのです。
この4つの数字の組合せで、何が近隣社会にとって悪いのか、大まかに要約することが出来ます。
この状況について、何が出来るのか問う前に、様々な密度に於いて、
どのように構造(構成の形状)が振る舞うのか、より良い比率の配置例を見てみましょう。
より良い計画は、どんなものでしょうか。
本質的に、歩行者空間が、広い幅の路地から大きな広場に向かってつながり合い、
通路や路地は幹に向かう枝のようで、手足が延びている胴体のようなたまり場、広場、
よりかなり大きな黄色構造の核、を見ることが出来るでしょう。
これが、安全な人々の生活の中心となり、子供たちの安全な遊び場となり、
ここでの日常活動により、人々に近隣住区のアイデンティティやコミュニティを、
所属意識をもたらすことができるのです。
それから、建物を示す灰色の構造ですが、
より小さな宅地・敷地サイズから個々による家々や営業活動の所有を見てとれます。
それは、高密度になった場合、土地が細分化されることも意味します。
仕事と家族生活の力強い混在のタイプとして、濃い灰色は業務用建物で、
薄い灰色は住宅用建物で混ざっている様子を明示しています。
更にこのパターンから、濃い灰色は、自然と背骨のように位置して、
関係する利益の為の接近を促し相互に支え合う経済的共働、
共同作用的ビジネスを導くのを見て取れます。
緑色の構造も、前例とはかなり異なっています。
前例では、区画から細長い緑の輪が建物周囲にあるのに対して、
其々まとまった広さの緑地・庭が、本当に利用できて主要な外部空間・庭となり得る、
それら自体が生きた空間としての質をもって、首尾一貫して、
より生き生きと全体に貢献できるように計画的に配置され構成されています。
拠って、良い例の緑色の構造は、
一貫してほぼ矩形として成り立っていて、他の形では在り得ないのです。
最後に、赤い自動車空間ですが、
均一ではない細い幅の大きな輪のような車路と
それにところどころつながっている小さなパーキング・ロット、駐車スペースが在ります。
これらは直接的にではなく、歩行者空間を優先した結果として間接的に導かれています。
また、駐車場も無暗にまとめることなく、
個々の建物から近く利用しやすいように考えられています。
さて、より健康的な例の4つの色の比率ですが、
黄色は17%、緑色は29%で、灰色は27%で、赤色は27%です。
この比率の組合せは、何が必要か示していますが、
20世紀から21世紀における都市では、実際知られていない構造の一タイプです。
アメリカやヨーロッパやアジアやアフリカで、
今日的な典型的なタイプとは、劇的に異なっているのが見て取れます。
この視点から、近隣の住宅地区を見て、修正していくことが出来るのです。
さて、これからフロリダ州のプログレッソという住区の具体例を見てみましょう。
<プログレッソ住区>
全ての住宅地区は、人間にとって全ての生活の拠点となる、
重要でユニークな特性を持つのですが、その一つとして、プログレッソ住宅地区を見てみましょう。
やはり、今日的な典型的な近隣住区にある、私たちの問題を抱えています。
ほとんどスラムのように、自動車に独占されていて、機械的な宅地割であることから、
無秩序に余ったような細切れの残された荒れた部分が溢れんばかりに多くあるのです。
しかし、生き生きとして美しいものに育つ機会を持つのです。
大体、そんな住区の歩行者路はきちんと舗装されておらず、
家や倉庫は倒れかかっていたりするのです。ここで述べたことは、断片にすぎません。
特別な始点も終点も無く、ただ、繰り返されるだけです。
この住宅地区はかなり大きく、0.8km×1.2km 位の規模です。
市民ホールから北へ2街区で、中心近くと言えます。
しかし、実に貧しい状態で、世界中の他の何百とあるような住区の一つとのようで、
庭らしいものは無い、破産したビジネスを伴うような朽ちかけたスラムの建物の混在です。
そして、この住宅地区の中央に、ハイチからの移民の家族達が住む部分があります。
ハイチから移ってきた家族に影響されて、自分たちも破滅するのではと無用の恐れを抱き
、他の住民家族達は離れてしまうのです。
そして、発展し開発し建設する気が起こらない未来に、社会的信頼が不足してしまうのです。
さあ、この経済的格差のような、ほとんどが惨めで貧しく、
時たま(格差を反映した)優美さが表れている、
雑然として蔓延った構造について考え、
どうしたら、人間らしい要求や地球上の植物や動物といった生命や気候やコンピューターや交通システムと
調和していくか考えてみましょう。
どうしたら、現在の不毛で無秩序の構造が、人間らしい居住環境に転換していくのでしょうか。
<相互作用のある密度と、密度の閾>
他の住区と同じ様に、プログレッソでは、全域の建物密度の問題もありますが、
車利用の密度と言い換えられるものです。
建物は高層化し、それ以外の土地は車利用に占められます。
可能な限り高密度であることが効率的で価値があるものと避けられないような状況をつくって、
空虚な空間の為の高層化と、その残りの土地の比率を車が食ってしまうのです。
一方で、他の相互作用する密度もあります。有用な空間と、庭と、広場が力強く、
それらの周囲に在る建物の高さと調和しているものです。
かなり暑い気候のところでは、小さくとも涼める場所となる外部空間を大切にするのですが、
本当に心地よく生き生きとさせるためには、外部空間を驚くほどに大きくする必要があります。
そして、空間は珍重されるものです。
4つの色は、それぞれ、要求と圧力から、より大きくと取り合います。
理想では、密度を抑制することが出来るであろうと望みますが、
実際は、ほとんどの都市の地域では、密度は上昇するので、
4つの色である機能を効果的に調和させて均整のとれた段階に達するのはより難しくなっていくのです。
プログレッソでも、同じことを、私に語られました。
そして、殆どの住民が、何らかの経済的、社会的リハビリテーション、更生を欲していました。
多くの空地を無くし、荒れた土地を生き生きと蘇らせたかったのです。
しかしながら、加えて、経済的状況を改善するまでに至る開発の段階を求めたのです。
大きな開発業者は、勿論、高密度にし利益を高めるのに貪欲です。
小さな宅地の掘っ立て小屋の群は、シティ・ホールから、たったの3街区目なのですから。
資産価値が高い立地ですから、宅地あたり5世帯、7世帯、10世帯と高密度化しがちなところです。
この住民達は、全く自ら費用を出したくなかったのです。
そうして、貪欲な利益追求に偏るディベロッパーを抑えながら、
環境の質を高めて、地域経済を立て直しながら、
2.5倍から3倍に密度を高めることが、総意となりました。
より人間らしく生き生きとした環境とするために、全てを一斉するのではなく、
ところどころに在ったスラム化していない、小さな独立した家や美しい樹木や灌木は保持して、
馴染みの感じは大切にして、結局、個々の問題を解決して、
すべて適合し調和するように修復していったのです。
以下に、私と私の共同研究者達が、
これでプレグレッソ住区が蘇ると信じて進んだプロセスの概略です。
それは、段々に、住民の人々の個々の、
或いはみんなの願いを実現する正しい構造をもった建物にしていくプロセスです。
密度を中位に上げながらです。
ここで、より明らかに密度の統計についてまとめましょう。
プログレッソ住区全体では約150エーカーの規模で、道路と900世帯(1996年)を含んでいます。
そして、この機会に、専用住宅用も業務と兼用住宅用も含んで2400世帯とします。
私達は、平均して1400スクウェアー・フィート(約130u、約40坪弱)の各住戸単位を確保する為に、
それらが2400戸ですから、
3〜4百万スクウェアー・フィート(130×2400で、約312000u、約31ha)の総延べ床面積が必要となります。
(人間らしく好ましい情緒を大切にした、最も高い密度ですが)平均して2階建ての建物で構成すると、
総建築面積は、1700万スクウェアー・フィート(総延べ床面積の約半分として約156000u、約15.5ha)で、
約42エーカーの地面が建物で、4色の内の、灰色で覆われることになります。
次にパーキングについてですが、この地域では、専用住宅と業務兼用住宅がありますから、
1住戸当たりの所有台数は、1.5台と考え、
(このような密度の住宅地区で経済的なのは青空駐車となりますが)
約100万スクウェアー・フィート、約25エーカーの地面が、駐車用となります。
加えて、車通行できる道路、車路、路地を合わせると、
約0.5百万スクウェアー・フィートで、約13エーカーとなり、
結局38エーカーが、車に占有される地面の面積となります。
算定した結果を模型に反映しながら、人間らしい十分な大きさの各庭を確保する為に、
2階建て建物の建築面積を検討し、
建物の総建築面積よりも少し大きい
約1.9百万スクウェアー・フィートの総庭面積が必要であろうと導き出しました。
拠って、庭となる4色の内の緑色が覆う面積は、45エーカーとなるでしょう。
こうして、黄色の歩行者用空間は、7%から17%に上がるのです。
<4色の比率>
1エーカー当たり16戸となり、
近隣住居地区の面積に対して単に建物の容積率は54%となりますが、
歩行者空間の黄色は、25エーカーで17%、
庭の緑色は、45エーカーで30%、
建物の灰色は、42エーカーで28%、
自動車空間の赤色は、38エーカーで25%、
とそれぞれの比率で、全体地面の面積を占めることになります。
これで、150エーカー当たり2400戸、
或いは1エーカー(約4047平方メートル)当たり16戸、つまり約76坪当たり1戸となります。
建物は平均して、2階建ですから、3階も1階もあります。
こうして、大まかですが、4色で区別できる構成要素を統計的に均衡するように見て、
人間らしい居住環境をつくるルールを映し出しています。
私が、アンダーラインを引いてほしいと願っているところは、
都市環境では、少しの密度の違いが大きく影響するので、大変デリケートなのですが、
成功に導く人間らしい環境のために、この密度配分の扱い方、面積配分の仕方なのです。
例えば、密度を12%上げて、2400戸から2700戸とすると
建物面積やそれに合わせて高層化して車用や庭(質が変わりますが)の面積は増えても、
適正に有効となる生き生きとした歩行者空間は劇的に減少します。・・・・(The Nature of Order 3, p295)
< 最適密度を求める中で近隣住区のセンターを強化していく変換という
キーポイントなる考え>
ここで、近隣住区をより良く修復する為に、1エーカー当たり16戸とかなり密度を上げて、
住区を検討するに当たり、
15の変換を含む基本的な生きているプロセスについて考えましょう。
どのように健康的な構造をつくり育てていくか、
どうように、少しづつ段階的に進めることが出来るか、
近隣住区を通じて異なるタイミングで各々進められるか、
このようなやり方が、
近隣住区のセンターのダメージを治癒することが出来るのですが、
少し少しでも、
大きなものへと展開し続けることができる正しい構造を創ることとなるのです。
<歩行者空間(黄色)の展開>
私達は、全体の中でその背骨、
つまり、ところどころで広場や公園につながる歩行者用路地や小道や中心的外部空間のシステムを、
拡げて再び創ることについて述べています。このシステムは、大きく成長していくものです。
この歩行者空間が大きく成長していく構造が興味深いのは、実際的な視点からですが、
宅地分割のプロセスと平行して起きていくということです。
歩行者道路のシステムの成長のための土地を、どのように得ていくことが出来るかが、問題です。
顕著な占有によっては、それを成すには不可能と考えます。
それは、理論としては可能でも、激しい抵抗に向かうことになりますし、
本当的に実質的でもないのです。
宅地を分けるところで、実際、動線の方向転換が起きますから、
宅地に家を建てることから、同時に歩行者空間を創るのを求められることになり、実質的です。
幾何学的性質の理解するために、
後でトルコ絨毯の写真とスケッチ(196ページ)の図を見てみましょう。
同じことが、ここで言えるのです。
<宅地と建物(灰色)の展開>
次に、建物の為に宅地を、密度を高めていくのに、どのように小さく分割していくかです。
戸建住宅のまま密度を高めていけば、宅地は小さくなっていきますが、
自発的に各住戸の特性に合わせて生まれるユニークさや、
敷地への適合性や、ビジネスが創造されます。
密度を上げて宅地が大きいままでは、個々の住宅やビジネスの独立性は損なわれます。
これは、かなり重大なことです。
<庭(緑色)の展開>
三番目に、今日的なアメリカの私的庭として形成される方法から離れて、
段階的に一歩一歩と、ただ、生き生きとした空間、部分をつくっていくという方法で形成されます。
これは、細長い敷地に一杯に建つ建物の狭い空間とは全く異なり、
生き生きとした庭のみとなるのです。
このルールは、単に道路から後退するというのみではなく、
より良い庭、外部空間のためにと、建物の配置をコントロールします。
<車空間(赤色)の展開>
四番目に、少し道を膨らませた端の駐車場をところどころに散りばめた車通行のための細い路地の、
より大きく成長するシステムについて述べます。
アメリカで蔓延っている道路区画システムから転換するもので、
より入り組んだ回旋状の道路交通システムです。
これは、素晴らしいことに、結果として、
典型的なアメリカの近隣住区の様相を全く変えるものです。
<成長する歩行者空間(黄色)の胴体のような幹空間>
歩行者空間の幹空間は、
その枝である路地や小道など歩行者路につながるシステムですが、
予め、部分的にでも、近隣住区の住民の人々により、配置されて、理解されて、
合意形成されている必要があります。
それは、部分的に裏道も含んだ既存の道路との、合成構造です。
使えない見捨てられたような地面が在るところに、
替りに、両者にとって有用となる使える地面にするのです。
其のために、土地所有者が寄付し貢献しやすいように、
その建物建設許可に関して賞与を、
容積率の割り増し等を用意しなければなりません。
さあ、このプロセスを表している4つの図をみてみましょう。
キー・プロセスは、
段階的に一歩一歩、
住民やそこで働く人々に真に所有される
心地よく、つながっていく歩行者空間の構造を創っていくということです。
この目標に主たる道路やまたは、ところどころでも、近づけるのです。
(初めに、道路となる線を引くだけではなのです。)
新旧問わず建物の正面を区別します。
建物の正面の壁を決めることは、道路空間の壁でもあり、その形、公共空間の形を、
公共の利益を決めることでもあるのです。
新たな建物の建設時はいつでも、建物面によって、
道路や路地や裏道を生き生きとした空間に形成するのを助けるように決めるのです。
こうして、実際の住民の努力によって新たに歩行者空間は生まれ形成されていきます。
契約審査や材料の提供やボランティア支援などの方策により、これを促すのです。
<宅地割と小規模戸建て建物(灰色)の増植>と
<生き生きとした庭(緑色)の成長>と
<最後に自動車空間(赤色)>と続きます。
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<15.黄色と緑色と灰色と赤色の4層のパターンの、構造強化する展開> p.304
これまでに記述したプロセスによって段々と一歩一歩、首尾一貫した、
歩行者空間と庭空間と建物と自動車空間のパターンを創造することは、
2次元のチェスや、4色駒のボード・ゲームとして見れるような非常に複雑な課題です。
首尾一貫した織物が出来上がるまで、その平面の上で、黄色と緑色と灰色と赤色で、
相互に繰り返されながら少し少し覆っていくプロセスです。
このプロセスにおいて、いつも4つの色のルールに従いながら、
一度に一色の断片を置いていくのです。私達が始めたところから、
更に、それを拡げていきます。
正しい一連の流れは、他にありません。
ただ、ひとつの全体として、パターンを続けて、必要だと考えられる所に、
その色を置いていくのみなのです。
一度に、4つの色を、緑を分けて黄色の数片と、2、3片の赤を置いていくかもしれませんが。
4つの色は、実際の世界の空間を意味してますが、
絶え間なく、調整されて修正されて、展開して、育ち、広がっていくのです。
ここで特筆すべき点は、一片一片が全体への流れへと向かい、
全体性に貢献していくということです。・・・・・
各色がより生きるように、
全体性のために、帯状の歩行者空間が続いていくことに貢献するように、
他の色を置いていくのです。・・・・・
そうして、生命力が漲った、それ自体首尾一貫した段階に到ると、
全体論的な目と一つの切っていくように不規則な表現を要するのです。
このように切って分けられたような構造を創造する展開プロセスを見ていくのは、
興味深いものです。
・・・・・・・・
(続きは、
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<高度に複合化した秩序 ひとつの近隣住区における主要な不変条件>p.310
切分法的プロセスによって創造される長期にわたる秩序は、
普通ではなく、一つの周期性をもった結晶(Schroedingerシュレディンガーが、DNAに関してその構造が完全に知られる前に、
見事に言い当てた言葉ですが、)を思い起こさせるものです。
提示した4つの色は其々の特徴をもって、全てポジティブに、生きる空間となるように、
成長に向かって新たな一歩を各々が進むときには、
よりポジティブになるようにと、繰り返されることから複雑な秩序となります。
この一つの周期性をもった結晶の特性がスケッチに表れています。
大規模な秩序は、このシンプルに見える部分のプロセスによって創造されるのですが、
かなり複雑で、この種のプロセスの結果として描く以外、
殆ど幾何学的に描写できるものではないのです。
このことによって、2巻で述べている、生きている構造に起きている秩序の類は、
図や建築的イメージによって普通に描くことが出来ない複雑さを
持っているということを理解されるかもしれません。
ひとつの近隣住区における
生きるプロセスのに適切に用いられるものとして導いた
初期の不変条件は、
生き生きとした庭空間と建物と自動車空間を導き出す歩行者空間の
土地利用の統計的均衡です。
展開を進めるための生きるプロセスの下で、
それらの4つの構成要素の土地利用の関係は、殆ど対等なものです。
(歩行者空間のみが7%で自動車空間が47%と偏ってはいないのです。訳者補足)
特に、自動車空間のために、歩行者空間や庭や建物が合わせるということではなく、
逆に、歩行者空間や庭や建物の形や一貫性のために、
車空間の増長を厳しく抑えているのです。
第二の不変条件は、歩行者空間と庭と建物と車空間の4つの色が、
織りなされる一つの複合体である特性に貢献することと考えます。
それらに構成される各地面の相互作用、場所性をもって複雑で、
簡単にシンプルな形態で描けるものではないのです。
庭は、様々な大きさで、全て生きた空間としてあちらこちらに現れ、
おそらく灰色で表されている建物に囲まれています。
黄色で描かれている歩行者空間は、様々な大きさで、あちらこちらに、
すべて一貫して、部分的な形態的対称性を持って、
すべて緑色と灰色のに触れているのです。
赤い色は自動車空間を描いていて、狭い輪状が住区を囲みますが、
所々にある駐車場の膨らみは、数台の駐車のみを許容していて、
決してスピードが出せないように、
歩行者空間や庭空間や建物空間にダメージを与えることが無いようにと、
全体性に貢献しているのです。
+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+
さて、ここで、練馬区のある近隣住区を見てみましょう。
大きな寺院や墓地も元々あり、
地形と調和していた田畑が大部分宅地化されて、
比較的小規模な区画整理が、平成23年に完了しているところです。
生活道路や沿道整備もされているところです。
区画整理事業体であった都が私道の中央部分を所有している状態なので、
私道の整備も、歩行者優先と住民の発意から取り決められれば、
通過交通を避けてガーデンのような道、公共外部空間の創出も考えられる
秩序の骨格が在るところです。
ただ、既存を基にして現実味のあるシュミレーション図を4色で描いてみましたが、
やはり、赤が目立ち、かつ、灰色が詰まっている状態が見受けられ、
緑は、塀を撤去したとしても、残された死んでいる空間が、多く見られます。
ただ、消防車や自家用車が利用するのみの歩行者道路の可能性はあります。
農家や農園が、相続を切っ掛けとして、細分化されたり集合住宅になる寸前とも、
考えられますので、当地域では乏しい公園にするなど、全体的な地区計画が、
生きる可能性があるところです。
+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+
Y どのように生きるプロセスが生まれるのか
<ひとつの建物の組織内での
建築構造におけるポジティブ空間と幾何学的形態>
(The Nature of Order 3 のP.191〜195のStructure Engineering関連は別の機会に。)
<ポジティブな空間とポジティブな構造:
3次元のカーペットとしての空間> p.196
良い建物は、結局のところ、3次元において、全ての断片、全ての部分がポジティブであり、
それらの純粋なパターンが一つの塊にまとめられたものなのです。
これを成すのは容易いことではありません。
13世紀から17世紀の古いトルコ絨毯が、それに関することを見せています。
それらの多くが、生きている空間の驚く程に濃密なひとつのまとまり、ひとつの塊なのです。
勿論、建物は3次元上で、絨毯の上でのまとまりは、2次元上ですが、
意味するところの一般的情緒や、考えは、いかに空間が一緒になってまとまるのか、
これが成されるとどのように感じるのか、
他に例として上げられるものは見当たらない程、
工芸美術品である、古代カーペットの中で、それが表れていて見ることが出来るのです。
建物においては、空間においても、それを構成する実体(構造要素など)においても、
私達がすることは、完璧に濃密にまとまったセンターのシステムを形成するということです。
部屋と構造は、交互に在る関係です。空間と壁などの建物の実体は、交互に在る関係です。
建物の部屋と建物の構造体要素は、交互の繰り返しを形成します。
構造を生きているものとするには、構造要素の間の空間も、
それ自体の重さと実体を持って、ひとつのセンターの美しい構成を形成しなければならないのです。
そして、構造要素も、それら自体の当初からの意味の中で、人体と関係し、
形づくる部屋の中で重要な部分を形成するのに充分に実在感のある、
十分な大きさの強固なセンターとして在らなければならないのです。
若し、構造要素が、それら自体にセンターを持っていたら、
交互の繰り返しですから、構造要素の間の空間も、より良い形にまとまって美しく形成されるのです。
この三次元の相互にかみ合った建造物、それらの各要素はすべてポジティブであって、
これを鍛えて作り上げるということは、建築的問題の本質的な点です。
建物が一つとしてまとまっているということは、そのすべての空間はポジティブになり、
そのすべての構造要素もポジティブになるに違いないのです。
それは、構造の大きな部分に在り、柱間の壁が首尾一貫して、強固に成されるのです。(P198)
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さて、ここまで「The Nature of Order 3」を読んで参りましたところで、
学校法人盈進学園東野高等学校の大講堂の
柱や梁や柱間やそれぞれの空間の存在感と、
それらによる重厚で荘厳な大空間を思い出します。
ここで最後に、
その建設についても載っている「the Battle・・・」http://patternlanguage.comの
本にまつわる私事ですが、
本工事が竣工し大講堂の色漆喰工事の前に、
多目的ホールで、厳かに神主様にお願いして結婚式をし、
大講堂で盛大に結婚披露宴をし、
その写真が当初の分厚い本の草稿に載せられて驚いたのを思い出します。
学園側やCES側は勿論のこと、約150名のお客様に遠方までお越し頂いて、
若い二人の門出と両方の両親(夫側は関西から)を祝福して頂き、その後も支えて頂きました。
今でも深い感謝の気持ちは変わらず、これまでと同様に、これからもずっと、
私にとって、その事実は、その写真は、人生の護符なのです。m(u_u)m
それでは次回をお楽しみに〜♪♪