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                 よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう!

                        2012年1月31日号

               〜〜生きているプロセス:白鳥計画と千種台計画〜〜


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 寒中お見舞いお見舞い申し上げます。

  陽光の暖かさを抱える猫に包まりたい程のこの頃ですが、
 お元気ですか。 ご無沙汰しておりました。(*∩-∩*)
 本年も、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。<(_ _)>


  さて、東日本大震災後の本格的な住環境復興が望まれるこの頃です。
  昨秋のテレビ報道ニュースで、千葉県の浦安市や習志野市の地盤液状化被害の対処について、
関係者や住民が検討中と知りました。市のサイトにも土木技術駆使の対策案が公開されて、
道路など公共用地の対策は着々と進んでいく状況が伺えました。
しかし、戸建住宅地では、各戸個別に液状化対策するのには、
高価な費用と各戸による実現にバラツキのあることからの効果面から問題があり、
住宅地区一体での対処が妥当と考えられるのだが、
庭付きの戸建から一挙にコーハウスなどの共同住宅化に対して、
住民の方々が強い抵抗感を持って躊躇し悩んでいることにも頷けました。

 そこで、直ちに脳裏に「白鳥計画」形式が浮かび上がりました。


                           (筆者、当時筒井実代子の作成模型を1990年12月に筆者撮影。)



 今回、皆様にご紹介したいと思います。

 最も本質的なことを含み概略が理解できる
クリストファー・アレグザンダーの「The Nature of  Order V」の抄訳に多少
補足を加えております。(原書で購読を希望される方は、どうぞ、こちらへ。↓
http://www.natureoforder.com/ )

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The Nature of Order V 白鳥計画と千種台建替計画住民案 

10章 生成のために示唆される、生きているプロセスというアプローチ

高密度住環境に「帰属している」ということ

1エーカー当たり(4,426u、1339坪当たり)40世帯から80世帯

1  一つの問い掛け

今日、世界の住居の多くが、高層集密住宅の形式で建てられています。20世紀を通して、

この集密住宅は、その典型として、6階、8階、14階と、かなり高層の賃貸住宅タワーに集中されました。
それは、人々がほとんどネズミやウサギ小屋のようなところで暮らさなければならないということでした。
世界の人口は、まだ増え続けています。このような高密度住宅の創造は、
少なくとも一、二世紀に亘って、続きそうです。

2  人々の願いについての重要なコメント

生きているプロセスという考えは、
人々の実際の情緒や願いに責任をもって応え建てるというシンプルな考えを含んでいます。
しかしながら、全ての事項の中で最もシンプルな点が、たびたび充分に守られていないのです。

 ここに名古屋で私の友人の細井久栄(と名古屋在住の村上喜代子)によって行われたインタヴューを
抽出したまとめがあります。
1990年の後半に名古屋における高層住宅に居住する100世帯を対象にしたものでした。
細井氏と私は、彼らの住宅について以下の質問をしました。
生活環境において、彼らにとってどんな質が最も価値あるのかという問いでした。

 より具体的に解り易く私達は、問い掛けました。

  白鳥地区における現在の政府による計画は、
巨大なショッピング・センターと巨大な駐車場を伴う14階建ての賃貸住宅です。
それは、典型的な今日のトレンド、流行です。あなたは、それについてどう考えますか。

 この質問への答えは、下記の通りでした。

    賛成(是認を含めて)    10%

    反対            50%

    その他(不可避も含めて)  30%

    無答            10%

そして、私達は問いました。

 もしも、あなたの為に生活環境をつくるのを頼むとしたら、

何が、あなたにとって最も大切な事ですか。

この質問の答えとして、多くの人が自然と口にした、
人々の自発的な言及である回答リストを下記の通り受けました。

  1、樹木、水、緑、土、陽光や風のような自然との触れ合い   32%

  2、人との交流とコミュニティ(人との触れ合いと地域社会)  15%

  3、静けさ(車など騒音が無いこと)             13%

  4、公共施設と広場(ベンチ)                13%

  5、陽光                          10%

  6、日常の買い物の利便性                  11%

  7、広いリビング・ルーム(少なくとも13u、8畳)     10% 

  8、交通の利便性                       8%

  9、風通し                          7%

 10、安全性                          7%

 

  その他の答えは、文化の香りや、雨の音や、畳で、コンクリートの床はなし、

孤独ではないといったことでした。

 それから、細井と私は、それぞれの家族により詳しい質問をしました。

下記の11の質問事項は、名古屋在住の100世帯に配られたものでした。

そして、100の答えを受けました。

質問1 自分の家の庭が欲しいですか。

答え a.たとえ小さなものでも、自分の家の庭があった方が良い     86%

   b.もしも家の近くにグランドや広場があったら、自分の庭は必要ない6%

     c.その他                           6%

  d.無答                            2%

質問2 あなたの家の階は、どうあって欲しいですか。地面の上の階、1階、2階や3階に住みたいですか、
   或いは、もっと上の階に住みたいですか。

 答えa.地面に接している1階                  46%

   b.街路から直接入れる、アプーチできる2階や3階ならば可能 34%

   c.エレベーターがあれば4階や5階でも可能          8%

    d.眺めの良い7階や8階が好ましい              2%

   e.その他                          8%

   f.無答                           2%


質問3 あなたの家の前面道路は、どうあって欲しいですか。広い道路ですか、それとも路地ですか。

答えa.ただ丁度車が家の前に行かれる位(約4メートル)の小さな狭い道50%

   b.もしも歩道つき2車線道路なら、心配になる         36%

   c.その他                          10%

  d.無答                              4%


質問4あなたの家へのアプローチは、どのようにあって欲しいですか。あなたの家の周囲の共有空間は、駐車場であって欲しいですか。

答えa.道から門を貫けて、玄関へ入るのが良い            32%

  b.道から直接のアプローチで専用玄関や階段に行くのであれば良い60%

     c.道から共同のエントランスへ入り廊下や階段を抜けて玄関へ行く 4%

      d. その他                          2%

      e. 無答                           2%

それらの質問の後で、更に細井氏と私は下記の質問をしました。

質問5  屋外共有空間において、他の人と一緒で心地よいと感じられるべきですか。

質問6  あなたは、貴方の家の外で子供を遊ばせたいと思いますか。

質問7  あなたは、道から直接の玄関が欲しいですか。

質問8  あなたは、心の内でこうあって欲しいと願う間取りにしたいですか。或いは、

    一人の建築家による大量生産的にデザインされた賃貸集合住宅を持つことで

    心地良いですか。

質問9  あなたは奥行深く、一方は日当たり良く他方は採光もない賃貸集合住宅が欲しいですか。
    それとも、全ての部屋に適当な採光がある賃貸集合住宅が欲しいですか。

質問10 あなたはエレベーターや駐車場を通って高層賃貸集合住宅の家に帰りたいですか。
    それとも、(
4メーター幅の)路地からあなたの家に帰るのを好みますか。

質問11 あなたは、家の窓からの眺めに小さな植木や樹木が含まれるのを、ただコンクリートだけの眺めよりも好みますか。

 それらの質問は、ほとんど彼ら自身への答えでした。同じ調査の別の部分に於いて、

細井氏は同じ質問を別の言い方で問い掛けました。
彼らに彼らの生活環境で一番欲しいのは何か個々に尋ねました。
彼は、かれらが住まいの質の中で最も欲しいのは、
それらの世帯によって優先順位づけされた下記の
8項目であることを見出しました。

1.     各家が自らの庭を持っている、庭付きであること。

2.     低層であること。

3.     ユーザーが間取りをデザインできなければならないこと。
    自分たちのために外回りも内部も、自らの要求に従って、彼らの生活空間が唯一のものとなるように。

4.      道路に通過交通は無く、遊び場となり、おしゃべりの場所となる。

5.      住まいの中の採光量は、典型的な高層住宅のよりも多いこと。

6.      家の近くに自分の車を駐車できること。

7.     前面道路から直接に自分の家の玄関へ入れること。

8.      家の近くに小さないくつかの店があること。

 もちろん、それらの答え全ては、明らかでした。私達の殆どは、同じような答えを出すでしょう。
最も驚いたことは、答えに何も違和感が無いということでした。
しかしながら、
人々の大切にする生活空間の質は明らかで、それらを誰もが知っていることにもかかわらず、
世界中に住宅を供給している役所、行政は、首尾一貫して、頑固に、これらの答えを無視しているのです。
その当たり前の普通の感じが、
私達がそれらの明白さと具体性をドラマティックにする為に統計的回答を編集するのが困難となったかの訳です。

 それらの回答は、100世帯による回答を統計的に編集されたものです。
それらの回答から、日本の人々が何を欲しているか、かなり顕著な考えを得ました。
常識によって確かなものとなります。
あなた自身に尋ねることによっても、確かとなります。
例えば、私自身に私自身が私的に欲するのはと問い掛けても、確かです。
おそらく、読者の貴方自身に問い掛けてみても、確かでしょう。
若しも、貴方か私が、自身の家で欲している事項の非公式な分析をしたら、
名古屋在住の家族と同じ事項をざっと選んだでしょう。

 多くの人は、
1エイカー当たり(1339坪当たり)80世帯という高密度下(例えば4m幅員道路に4m面して奥行10m弱の1住戸敷地)で、
そのような住環境の質としての事項を条件として満たすのは不可能と言ったかもしれません。
私も、私が多くの路地が平行に連なる構成を発見するまでは、同じことを私自身に言っていました。
しかし、驚くことには、私は日本人の同僚の筒井実代子(武田実代子)と、
そうであるように制して、
突出した課題について集中して設計するという基本的なプロセスを繰り返すこととなったのでした。
前には試みもしなかったことでした。私達が得た結果は、以前には知られていない、
しかし、人々が言い表した願いから直接に自然に導き出されたのでした。

 人々の願いから一つの幾何学的形式へ導く論理的ステップ直接的連鎖

まず、高さを固定し、

それから日照・採光を固定し、

以後は個別の間取りへと。

そして、庭を、

それから、路地を、

以後は、街路の地下にいくらかの駐車場をと。 

人々の願いに沿ってみましょう。それらは、前のページにかけて記述していますが、
それらを文字通りに取って、それらの願いに合うことを要されていること以外は何も導かないようにしながら、
段階的にステップを踏んで。

私達は、ひとつの最も普通の形式を取りました。
どんな種類の設計プロセスが、かなり高密度なところで、帰属するための人々の願いや要求をかなえることが出来るのか。
ここに生成プロセスに達するための一つのプロセスがあります。
200世帯が住むことになる1ヘクタール(100メートル四方)又は10000uという広さを想像してみましょう。

それから、展開のプロセスに従って、形態学的特性を一つ一つ定義しながら、
ただ人々の願いがどのようにしてこの地域内にある200世帯の賃貸集合住宅を含むプランへ
確かな影響を与えるか問いながら、
段階的にステップを踏んで参りましょう。

 まず、高さを固定する

ほとんど誰も、本当に地上2階よりも高いところに住みたいとは、思わないのです。
高密度では、私達に何が出来るでしょうか。
それは、
2階半を最高とする高さの建物にすることと言いましょう。

  

 ここで、エーカー当たりの建築面積を固定しましょう。

各住戸の延床面積は今日日本人の住宅として適当な平均の72uと、仮定しましょう。
200世帯住戸の総延べ床面積は、14,400uとなるでしょう。
もしも、建物が
3階建てならば、直接地面に着く建築面積は、その3分の1である4,800uでしょう。
残りの
5,200u(10000 −4800)は、街路や庭に用いることが出来ます。

 

 それから、日照・採光を固定します。

賃貸住戸の中に良い採光を取り入れるためには、大きな建物の中の箱にすることではなく、
各住戸の外周壁の多くは、空に向けて開けていなければなりません。
その結果、庭と道路を形作る、そうしたオープンスペースをもった、
それらの間に細長い、殆どスパゲッティのようなでリボンのように長い建物を創ることが導き出されます。
リボン、または長い羊羹の厚さの理想的寸法は、6メートル(20フィート)です。
これが、各住戸に全ての側で素晴らしい採光や日照を与えるのです。
そして、それは好ましい内部空間を創ります。
そして、その中で住む人が自分の住まいを本当に形成し帰属している感じることが出来るのです。

これから個別の間取りの可能性です

このような住戸の中で、つまり奥行6メートルで長さ12メートルの長方形の中で、
独立した玄関のある、どこにでも窓にすることが出来る2面の長い壁がある住戸の中で、
それぞれの家族は、彼ら自身の願いに沿って住戸内部の間取りが出来るのです。
建築システムは、内部空間の間取りを反映することとなる窓を自由に設けられるものでなければなりません。

そして、庭です

さて、5200uの外部空間を考えてみましょう。各家族は、小さくとも庭が必要です。
このような高密度では、大きな庭は不可能です。
しかし、各家族が、
8uか10uの庭を持つことは出来るでしょう。
そうすると、200家族の庭として、2000uの土地面積が割当てるられることになります。
これで、3200uが道路のために残されたことになります。

それから、路地です

道路として利用できる残された土地面積は3200uです。
もしも全ての住戸が一つの道路に面すると、住戸の一方の面の全長
12mが面することになりますが、
道路幅を
6メートルとすると、道路中心線からの幅3メートルが各住戸に配分され、
200家族ですので、3層に建物は分かれ、2400uの道路面積となります。
それらの道路は、片側に駐車することになるのでむしろ一方通行となります。
これが、家の前に駐車できない分の、他の道路の為に、スムーズな方向転換などに
800uを残すこととなるのです。

ここで、道路地下の駐車場です

この構成で道路の全長は、1ヘクタール当たり650メートルです。
若しも全ての家族が、一台の駐車場を持つことが許されるなら、
200家族の為に総駐車場長さは、道路長さの約1000mが要されます。
それらの空間の
3分の2は、家の計画された外周で、前面の路地に沿うことができます。
もしも残っている
3分の1の車が、地下に駐車することになれば、路地の半分の地下でよいのですが、
それも建物を支持する地中耐力壁としての基礎として用いられるのですが、
これは、劇的に地下駐車場のコストは低額にします。

ほんの少し密度を低くすると、全ては極めてゆとりある好ましいものになります

1エーカー当たり又は120ヘクタール(120万u)当たり40から50世帯、
これでもまだ高密ですが、同じ幾何学的形態が、より広い庭を与え、地下駐車場も必要なくなります。
このまだ高密度の条件下で、住環境は好ましく、美しく、人間らしくなります。
そして人々は本当の帰属意識を持てる域に達し、自分たちが住んでいる地域を愛せるようになるのです。

人々が、彼らの住環境で要求するものは、曖昧ではないです。
家族たちは、彼らの願いを明らかにしてきました。
そしてそれらの願いが導き出すものも、課せられた高密度の条件下で、人々の願いをかなえる設計を展開しながら、
論理的な道に従うならば、曖昧なものではないのです。
多かれ少なかれ私が示してきた流れに沿ったものになるでしょう。

 白鳥計画:1エーカー(363千坪)当たり80世帯という高密度住宅の新しい形式

    :詳細説明

ここで、私は、一つの全体性としての計画からその全ての特徴を備えてより充分な詳細の中で、
この新しい幾何学的形態について、記述しましょう。
それは、車、歩道、庭、窓、陽光、屋根の高さ、そうした全て一緒に熟考して、車が在っても車に支配されるのではない、
調和した歩ける住環境として創造することを意味する課題の上に計画されるのです。

 1990年から1993年の間に、名古屋市の為のこの建築形式のプロジェクトの二つのバージョンを遂行しました。
一つは、白鳥と呼ばれる場所で、かなりの高密度です。
もう一方は、後で取り上げて述べますが、千種台という場所で、もう少し低密度なものです。
当初、当時の住宅都市整備公団が、
2.5ヘクタールの土地面積に、500世帯用の高密度高層住宅を計画している白鳥地域として知られている地域を訪問することを、
名古屋市長から依頼されました。
白鳥地域の開発グループ職員は、この地域のために、
どのようにして住宅計画が新しくより良い生活の原理に適応できるかデモンストレーションする準備を、私に依頼したのでした。
私が彼らに示したこの住環境計画は、
当時の他の公共住宅計画での都市基準と同じスタンダード、標準に正確に合わせたものでした。
(それは、
1ヘクタール当たり200戸、又は1エーカー当たり80戸の密度で、
住戸数分の駐車場と、住戸の平均床面積
70uというものです。)
それらの条件が、
1989年の8月に名古屋市の職員との会合で私に、与えられました。

 新しい計画は、既に示しました概要としてこうした文脈、流れから引き出され、
以下に、名古屋のような大都市内でさえ、
今日普通となっている
14階建ての高層集合住宅になる必要はないことを明らかにしています。
同じ敷地で同じ
500住戸が、2階半建の建物で建てられ達成されることが出来るからです。
2
階建と屋根裏部屋の建物で、(6メーター程の)細長い路地に沿わせて整え構成することに拠ってです。
初めは、住宅計画担当の職員でさえ、
このようなことは物理的に不可能なことと感じていると私に言及していたにも拘らず、
同じコストで同じ密度で、それが出来ることを、彼らにデモンストレーションしたのでした。

 どのようにして「マジック」は起きたのでしょうか。
200世帯の賃貸住戸は、約14400uの延床面積を要します。高層賃貸集合住宅建設の通常のやり方だと、
それらの
14400uをただ一つのタワーの内部空間に入れた建物は、ただ1440uの土地面積を占めます。
残りの
8560uの敷地は、建物の間の生かされない大きな外部空間で、駐車場に好都合となるのが典型的です。
しかし、それは全く好ましくなく人間的目的からは、人間的に良いかどうかという点では、使い物にならないのです。
情緒的に、それは誰にも帰属しないものです。

しかし、もしも14400uを、低層建物に入れたら、
1ヘクタール当たり(3025坪当たり)4800uの敷地を建築面積とします。
これは、より混み合っているように聞こえますが、残った
5200uの地面が、
美しく役に立つ小さな面積に分けられることが出来るのです。
荒れたコンクリート砂漠のようになるのではなく、
それは、小さな庭とうねるヒューマンスケールの狭い歩行者優先の路地で構成せれることが出来るので
人間らしくなります。


  1. 計画概要:計画の一般的記述

 住宅建物は、路地に沿って細長いので、各住戸は、自分の唯一の長い間口の正面を持てるのです。
上階の住戸は、各々の専用階段から上がって着くことが出来ます。
全ての住戸は、今日の高層住宅の状況よりもはるかにより採光や日照を得られます。
(なぜなら、長い外周が太陽に面するからです。)全ての世帯が、駐車スペースを持ちます。
小さな庭ですが、今日の日本の標準的サイズですが、多くの伝統的な日本の庭と同じサイズで、
彼らの願いに拠って樹木や花や野菜を育てることが出来るチャンスを全ての家族に与えるのです。

 路地は緩やかにカーブしているので、道路に微妙に人間らしい質があり、
道路は静かで明るく軽快に歩けるのです。
それぞれの路地は、コミュニティの中心として好ましく、子供たちが遊べる場所です。
最も重要なのは、建設方式が、各家族が自分たちの住戸の間取りを決めることを許容することです。
独自の間取りと窓の配置によって、各家の唯一の感じ、ユニークさが創造されます。
一つ一つの住戸が、本当に家であり、卵を産むための小室ではないのです。
全てから、日本において典型的な今日の高層住宅開発者により、最近供給されているものよりも、
その住環境は、はるかに良いものなのです。

  2.    建物の高さ

その建物は三層、三階ですが、軒の高さは、地盤面から2階半分だけです。
最上階は、部分的に屋根のボリュームの中です。
こうする主な理由は、小さな外部空間を圧迫感のない心地良いものとするためです。
軒の高さが地面から
7メーター以下であれば、それが達成できるが、
3階高さの)8メーターであると高すぎて外部空間が拙くなり、あまり使えなくなるのです。
これは小さく見えますが、本質的違いが、計画の成功のための鍵、要となるのです。
それは、狭い空間により容易く多く陽光を取り込むことをも許すのです。

  3.   路地の美しさ

 路地が車両通行を許容するとしても、車はゆっくりと出入りし、むしろ、その性格として歩道なのです。
各道路は、本当に路地で、伝統的な日本のいたるところに在り続けている多くの路地と同様です。
それは親密な感じがします。それは、建物の低い軒の、庇の連なりによって、素晴らしい形が作られています。
(断面図参照。)建物が
3階建であっても、勾配屋根と低い軒高が、道路空間のとても良い雰囲気をつくっているのです。

 路地は、その片側に、気楽に利用できる駐車スペースを含んでいます。
玄関へのドア・ステップも、前庭も、ベンチも、小さな木も、柵もあり、座ったり立っていたりするのに気持ちの良い場所も含んでいます。
此処かしこに、建物を通り抜けて裏庭へ行ける通路があります。そして時々、避難救助のためのオープニングがあります。

路地は、カーブしていますので、絶え間なく微妙に視界が変わっていきます。
一つの端で、メイン・ストリートへ接続することが、コミュニティの近隣である感じをつくり出していると知覚するのです。
路地に沿って歩くと、住宅は多様と感じられます。
あなたは、異なった住戸で、変化している窓からや、素材や色や位置から、各住戸の独特さ、ユニークさを感じることが出来ます。

4.個々の住戸の美しさ

各住戸は、それ自体の中で一つの世界として存在する機会を持ちます。
素晴らしい眺めと、好ましい採光と日照があります。
2階や3階は、直接地面に出る専用階段を持ちます。

 各住戸内で、いつも一つの美しい部屋があります。
いくつかの小さな寝室と客間は、各住戸でそれぞれユニークです。
各部屋は、好ましい採光と空間が注意深く作られるので、
其々の部屋は、廊下の曲りや厚い(収納)壁に守られてより個々の空間が与えられるのです。
これが、小さくする必要のある、混み合った小住宅で家族生活を上手くいかせるコツなのです。
引違の障子戸が用いられて、部屋を仕切ったり合わせたり出来ます。

5. 採光

自然採光が、最も大切な場所の特性の一つです。
通常の今日的賃貸集合住宅では、
72u(6m×12m)の典型的住戸は、
中廊下と反対の一つの狭い間口が外部に面する、採光を得られる壁です。
この住戸の外壁の合計は
6メートルだけです。白鳥計画における典型的住戸は、同じ72u(6m×12m)ですが、
反対に奥行きが
6メートルで間口が12メートルで、しかも他の面の外壁も採光を得られるので、
両方合わせて
12メートルという長い外壁で採光を得られるのです。
典型的な高層賃貸住宅の住戸の
4倍採光を得られるのです。

 同じ計算をする別の方法があります。
特色として、窓から
3メーター内の面積だけが、利用できて好ましい採光の範囲です。
通常の高層住宅の輪郭、構成であると、窓から
3メーターの範囲は、その内部空間の4分の1より多くはないので、
たった住戸空間の
4分の1だけが好ましい採光を持つということなのです。
白鳥計画の住戸では、窓から
3メーター内に住戸内部空間の100%がありますので、
全ての住戸空間が好ましい充分な採光を得られるのです。

6. 日当たり・日照

北側の範囲では、熱帯地帯の国以外では、住宅や賃貸アパート住戸は、
人々に出来るだけ多くの陽光を与えることが出来るようにと南向きにするべきであると、広く言われているかもしれません。

しかしながら、このルールは、かなり注意を払って解釈されなければなりません。
特に、高密度では、注意して扱わなければなりません。
若しも、例えば、白鳥計画の長い外壁の主になる方が南向きになると、これが二つの結果をもたらします。
一つは、アパートメント(賃貸集合住宅)の半分は、
北側に面することによって、採光は得られても日照を得ることはないのです。
二点目は、建物が互いに接近していますので、日照は、最も大切な太陽高度が低い時に、遮られてしまうのです。

白鳥計画の構成で日照を充分効果的にするために、
全ての建物の軸を少し傾けて、窓の一群は、南東から南西の日照の範囲に面することになります。
そのために、建物は東と西に面するように、道路と建物は南北に通るようにします。
そうして、建物の主な面が南東と南西からの陽光を得られるようになるのです。

一つの住戸で、有効な日照の合計値を算出するために、
私達は、(日照時間が最短で太陽高度が最も低い冬至の
1日における1u当たりの日照時間と)
1時間当たりの日当たり床面積の算出を用います。
1時間当たりの日照を得ることが出来る住戸床面積の合計です。
各合計床面積は、
1日における1u当たりの日照時間を掛け算して、1住戸当たりの日照の総量が求められます。

12月21日において、高層住宅の構成で床面積72uの標準的住戸は、1時間当たり70uの日照を受けます。
同じ日に、白鳥計画の同じ面積の住戸は、私が既に述べた方位に向いて、1時間当たり150uの日照を受けます。
なぜなら、開口部・窓を設けることができるかなり長い間口幅が、窓幅を長くとることを許容するからと、
白鳥計画の配置計画でより良い方位に向くことを可能にするからです。
こうして白鳥計画の住民は、平均して、不運にも高層賃貸住宅の標準的住戸に住む世帯と比べて、
2倍以上の日当たりを得ることが出来るでしょう。

7. 風通し

日本では夏は暑く、度々、じめじめ湿度が高いです。涼しくなるように気持ちの良い風通しが必要です。
白鳥計画の住戸では、奥行きが6メーターに設計されているので反対側の面の窓を開けて、風通しをすることが容易くできるのです。

8.  小さな専用庭の美しさ

白鳥計画の住戸は、ほとんど見過ごされそうですが、目につく所に小さな庭を持ちます。
各世帯は、住棟建物の間の幅
2メーターで長さ4メーターの庭を持ちます。
どうして、それらの庭が、植物を育てるに日照を得ることが出来るのでしょうか。
そして、そんな小さな庭が本当に役立つものなのでしょうか。

  日本の多くの伝統的町屋がこのような広さの庭を備えていることに教示されて、理解できます。
  例えば、私は名古屋にあるそうした町屋の一つを訪ねました。2階建ての棟屋で、やはりこうした路地に面しています。
  その庭は、植栽で満たされて家族みんなが楽しめて心地よく好ましいものでした。
  その広さは、
2.2メーター幅で3.85メーターでした。
   (原書で購読を希望される方は、どうぞ、こちらへ。→ http://www.natureoforder.com/ )
   この庭の広さは、物理的に又は今日の西洋化された標準からはかなり小さく思えるにも拘らず、
  日本人の感覚にとっては普通で、好ましく有益なものなのです。

   第二に、道路の通る方向によって、住棟間隔がかなり狭くとも、庭は多くの時間の日照を受けます。
  夏至の日(6月22日)では、庭は6時間の日照を得ます。年間で最も悪条件の冬至の日(12月21日)でも、
  それぞれの庭は3時間の日照を得るのです。

  同じ密度の慣習的な白鳥高層住宅案と比べてみましょう。
  白鳥地域では、全ての世帯は、全ての世帯が、専用庭を持ちます。
  少しでも自分の土地の地面の土に触れるという伝統的な日本人の感覚は、ここでは、尊重されて賞賛されるのです。
  当たり前となっている慣習的な高層住宅では、(1ヘクタール当たり
200世帯)同じ密度で、その住戸世帯は、専用庭を持ちません。

 本当に比較することがあるでしょうか。

9.  それぞれ異なった家族ごとの独特な間取り

住棟建物の形は、それぞれの家族に彼ら自身の為に建物内部と外部を、その詳細も含めて、特別で独特に計画することを許容します。

  故に、彼らに用意された長方形の中に、彼ら自身の願いである住まい、一つの賃貸住戸を備えることが、大変容易になるのです。
長い住棟の中で隣り合う住戸間を6mの短い方の長さの壁で仕切り、12mの長い方の壁は、
幅広い窓も可能な外周壁になっているので間取り計画がフレキシブルで容易になり、我慢を強いるような無理がほとんどないので容易いのです。

 住戸の間取り計画は、後で取り上げていますが、異なった世帯、家族ごとに用意された日当たり良い長方形の中で、
異なった間取りが可能になることを取り上げています。それらの間取りは、高層住宅の住戸で可能なものよりも、
各家族の尊厳をより重く扱うことを許容します。なぜなら、其々の住戸が、家族の個性や願いによって、より本当にユニーク、唯一のものとなるからです。

 各家族によって、異なった間取りの異なった内装、内部工事、備品設置がなされます。
または、日本の施工会社により、低密度の郊外住宅で既にされているように、
コンピューター・プランニング利用でのプレカット木材が、公共工事内で利用されます。

 10.駐車の利便性

 貴方の家の外側に駐車することで車を利用し易いが、車が路地内で景観を支配することはありません。
別の
30%は、外周の道路に駐車しますので、家から車まで2分歩くことになります。
35%は地下駐車場利用で、貴方が住む棟に沿う路地の地下ですが、路地の端に入り口があります。
入り口は、日本の小さな立体駐車場用の車用エレベーターで、路地レベルから降りて入って行きます。
顔見知りの親密さで、路地へ直接出入りできる階段もあり、駐車場は小さく安全にまとまっています。
拠って、大地下駐車場で体験するように、車までの距離は長くはなく、怖い感じがする質は無いのです。

 11.施工の美しさ

 人々が日本の伝統的建物について好きなところの一つは、その施工の美しさです。
これは、度々極端に(美的価値、質的に)衰えている建設の中で現代の高層賃貸住宅からは、全く消えてしまっています。

 それは、通常、経済的必然性のためか、特別な効率性といった類のために、当然のことと決め込まれています。
しかしながら、実際のところ、陳腐でかなり不快な建設方式に起因している賢くない建て方の、単に結果なのです。

 白鳥計画で建てるのは、シンプルで小さい建物、住棟です。写真のように、組積造などの耐火構造と木造の内部構成で成り立つでしょう。

 12.美しい外周り

 各住戸のユニークな内部の独特の個性は、自然と外周り、庭はもちろんのこと建物が道路と接するところでも表出されることが出来ます。
その感じは、様々な窓や、屋根、玄関、庇、オープニングや、窓台や、通路や、花鉢に表現されます。
それぞれの部分が、個々それぞれで、それぞれの命を持って、認められるのです。

 13.建設コスト

  私が白鳥で提案した計画の建設コストは、今日の高層賃貸住宅よりも安いか同等です。
なぜなら、実際の高くなる防災設備やエレベーターや高い各材料や高い建設コストに加えて、
近隣対策やクレーム対応などや、高層賃貸住宅には目に見えないところでコストがかかります。 
私達が建てたオレゴンの
3階建て集合住宅は、白鳥計画と似ています。当然ながら全く同じ建物はありませんが。
1住戸の専用床面積は
80uで、1993年時点で、一住戸当たり4万ドル(約496万円、当時1ドル124円として)のコストでした。

 悲しいことに、名古屋市の元請会社とディベロッパーのロビー(建設業者と不動産業者からなる政治的圧力団体)は、
白鳥計画の実現を妨害しました。
若しも、それが実現されたら、密度の限界が崩れ元に戻らないことを、
高層にしなければならないという理由が通らなくなることを懸念したからと、私は推察します。
当時、
1ヘクタール当たり200世帯という密度は、全ての住宅に係わる住環境の法的な限度でしたが、
水面下で圧力団体は、この限度を増して、より彼らの利益を上げられるようにしたのでした。


 5 千種台:1エーカー当たり40世帯

 上記の経緯から、白鳥計画の実現に名古屋市役所が躊躇した後、名古屋市の別の部分の千種台地域で、
行政による低層から高層賃貸住宅への建替計画に対して抵抗している住民達が、
彼らの住む千種台地域で白鳥計画方式で低層集合住宅を実現したいと希望していることを知り、
彼らの依頼を受けて、彼らを助けることとなりました。
この千種台の場合、白鳥計画よりも低密度で、
1ヘクタール当たり100戸(幅員4m道路に6m接し奥行12m以上の一住戸当たりの敷地)、
又は
1エーカー当たり40戸という密度でしたが、基本的なところは同じ方式で考えました。

 特に興味深い特徴は、下記の通りです。

1.      その地域は、戦後の荒廃から、1940年頃から育った地域社会、コミュニティを抱えています。
市の願いから新しい高層賃貸住宅へと建て替える計画によって、
コミュニティの感じが壊されることなく自分たちで守っていこうと願っていました。
故に、千種台計画は、千種台地域公営住宅の一つの住区である、はざま荘の住民の多大な参加に基づいています。

2.      全体的により低密度です。より充分に広い庭と公園を備えて、各家族のための個々の間取りをより余裕をもって心地よく進めながら、
より多くのオープンスペース、外部空間を設けて、同じような住棟で計画しています。(図参照。)

3.      千種台地域の住民と進めたことから、当時の私達の仕事の全ては有機的で生きており、
計画は、生きているプロセスの既存構造保存強化について具体的に描き、近隣住民グループとそこの住民世帯によって概略が定められています。

4.      そのプロジェクトは、コミュニティからの素晴らしいスローガンを持っていました。
「私達の近隣には、虫の為に適合しなければならない。大切なものは、虫なのだ。私達が住むところは、虫が守られている世界だ。」
こうした驚くような言葉で、千種台の市民は、市へ向かう体制を取って、私に助けを求めました。

1992年に、私は仕事をしている間に、千種台のはざま荘住民の400世帯へ20通ほどの手紙を書きました。
ここに、その内の一通があります。

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はざま荘の方達へ、199237日。

私達のみんなで一緒にする仕事について。

ナンバー2:昆虫について

 私の親愛なる友人と同僚方へ、

NHKディレクターの小沢氏が、あなた方と話している中で、何が最も興味深かったかと尋ねた時に、私は、「昆虫」と答えました。
彼は大変に驚いて、私自身さえ彼への答えに驚いていたのです。

あなた方が生きている環境について語っていた時に、何について深く注意を払っているものの一つに、 昆虫がありました。
取るに足りない小さなことに思えます。
しかし、それは、木々や、陽光や、暗がりや、生き物への深い愛を、そして私達自身の限りある一生や一生のはかなさを、
大変強く表していましたので、驚きましたし、興味深かったのです。

 殆ど30年間の仕事の中で、あなた方のような家族たちと一緒の仕事でしたが、
ひとつの近隣の中で最も大切なものとして「虫の幸せ」と人々が言及したのを、それまで聞いたことはありませんでした。
それをあなた方から聞いた時に、どうして私がそれ程感動したか考え、不思議に思いました。
部分的には、松尾芭蕉の俳句に答えを見つけました。彼も虫について、小さいものの命、蝉の音の意味について大変多く考えていました。
私は、あなた方皆がとても大切にあなた方の生活について深く考えていることへの尊敬を増すこととなりました。
そして、どうにかして今千種台の皆で一緒にやっていくことが、単なる住宅計画というよりも、より偉大な事であると実感したのでした。
それは、世界の殆どの人が忘れてきている、本当に生きるということを意味する仕事なのです。

                     クリストファー・アレグザンダー

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プロジェクトが始まった時に、市は、若しも70%の地域住民が新しい計画を支持すれば、
市は彼らが求めるデザインを建てることを、はざま荘の人々に約束しました。近隣地域と一緒の私達の仕事は、とても成功しました。
はざま荘の85%の住民が、彼らの支持を宣言しながら計画を支持し市への嘆願書に署名しました。
誇らしく、嘆願書は市役所へ提出されました。
恐ろしいことに、それから
23日後に市はその計画を拒否し全て無視するという声明を発しました。
私は、市長へ以下の公式な手紙を書きました。


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千種台の将来

1992105

名誉ある名古屋市長、

親愛なる西尾殿、

 貴方様と1989年と1900年にご一緒に話をしてから、しばらくとなります。
その時から、公共住宅建設における住民参加が、
最重要だという貴方様の声明をいつも思い出しております。
貴方様が、とても強くそれを私に言及したので、
そしてこのような大都市の市長がこの大変重要な事をとても良く理解していることは、
最も普通ではないことであると感じて、
この声明によって心を動かされました。
私は、貴方様がそれを言及したことを決して忘れておりません。

 私は、615日に放映されたNHK番組をご覧になったことと望んでおります。
それには、千種台の市民の仕事が描かれていました。
私は、貴方様が、最も重要な事である自分たちの生活について、
子供達の生活についてや、家族の生活について、
確りと堅固に主張している千種台の市民を、
誇りに思っているに違いないと確信しています。

私は、名古屋市へ、自分たちの願いに耳を傾けること、私の助けを持って用意した計画の採用することを、
公式依頼している千種台の住民の方々に、感動しております。

 しかしながら、率直に申しますと、
私は、貴方様の住宅課が送ったこのように不躾で粗雑な拒否に、かなりショックを受けました。
なぜなら、貴方様が特に
1989年に最重要事項は住民参加であると強く主張していたからでした。
それで、貴方様の言葉通りに受け取って、はざま荘における数百の住民と共にこの考えを実行したのでした。

元々、住宅課は、70%以上の住民がその計画を支持していれば、
そのプランを導入することに同意するとのことでした。
貴方様は、千種台住民世帯の実に85%が、この計画を皆で一緒に私と共に実現することが、
彼らの意志であり、家族の為に成さなければならないと信じているということを、十分に理解されますでしょうか。
彼らの懇願は明白で控えめです。
彼らは、ただ、千種台の住民と共に作成した私達の基本計画図を用いて、
都市計画課と千種台住民と私と共に進めることを、行政にお願いしているのです。
しかしながら、おそらくご存じの通り、住宅課は、無礼な手紙で、その懇願を拒否し、約束を破りました。
そして、楠荘の住民を立ち退かせ始めようとしたのです。
「緑や土」を一掃することなく少しでも残したいと願っている住民達が望んでいない
既存の市による建替計画案で建て続けるためにです。

    不運なことに、行政職員の行動の本意は、勿論、千種台のはざま荘や他の住区の住民の精神を挫く為に、
   ただ既存の楠荘の解体工事を開始することでした。この冷笑的で恥ずべき態度に、
   普通の人々の生活の為に本当に考えるという貴方のビジョンが、
     1989年には大変積極的に受け入れられていたことから、私はかなり驚きました。

    このように貴方様の住宅課職員が振る舞ったことは、
   貴方の市民たちの意志を甚だしく公然と無視したことは、
   恥ずかしいことではないでしょうか。名古屋市という大都市の市長である貴方様へ、
   人々の生活の助けになる方を取り上げるように激励させて頂きたいのです。
   どうぞ、加藤氏と他の住宅課職員の方々と席について、
   ユーザー参加が最重要であり、そのユーザー参加を千種台で成さなければならないと、
   そしてそれは名古屋市や日本のシンボルになると、
   貴方の見解を彼らに説明して下さい。
   どうぞ、貴方の住宅課とまちづくり課の管理職、責任者へ、これを説明するのに影響力を発揮して下さい。
   どうぞ、彼らがしていることは間違っていると、彼らが生きている環境について間違って理解していると告げて下さい。
   おそらく、貴方の職員方により特定された元々の密度と同じ近隣計画を通して、
   世帯家族の心を滋養する方法で、同じ費用で、
   かなりより良いものを実現するということが如何に相対的に簡単なことか実感していないのです。
   また、貴方の職員方を、そして貴方のお立場で、正しいことをすることを、強要することもできません。

    どうぞ、貴方のユーザー参加という夢を貴方が達成する為に、そして名古屋市の人々の夢を叶える為に、
   貴方がどんな障害に当たってもそれを乗り越えるために、
   私がお助けする為にいかなることでもすることが出来ると信じて頂けますようお願い致します。。

                               クリストファー・アレグザンダー 

    ・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇・◆・◇

 白鳥計画と千種台計画の評価

 私は、白鳥計画と千種台計画で、一つの生きている構造のいくらかの度合へ、
少なくとも、始めたところですが、取り掛かりました。
その感じはとてもユニークです。 

それらは、親密な感じを持っていて、殆ど小世界の質を備えています。
そして、結局、それらは、歩行者世界の尊厳を創り守っていくのです。

 この質は、独特の寸法や広さの感覚をいつも持ち合わせている日本人の深い情緒と
矛盾せず一貫したものと信じています。
伝統的な畳の小さなサイズが、私の意味することです。
伝統的な日本の家の、度々幅60cm程でとても急な、極小さな階段のサイズが、私の意味するところです。
伝統的な小さな庭が、私の意味するところです。
日本の家への慎み深い伝統的玄関のサイズが、私の意味するところです。
江戸時代頃からの町屋が面する路地のサイズもが、私の意味するところです。

 伝統的な時代の中で、多くの物が少し小さい時に人間の生活は最も美しいと理解していたことから、
日本の偉大とも感じられる素晴らしい美しさが起因しているのです。
これは、それらの貴重さを強調し、それらの感じを情緒的により強くしています。

 現代の西洋標準は、日本からこの感じを抜き出して、
少し大き過ぎる、より粗雑なサイズ、寸法感覚に置き換えています。
しかしながら、このより小さくて親密な寸法への要求は、人々の心に残っていると信じています。

 最後に、この親密で微妙な感じは、白鳥計画の中で最重要事項であるということです。
いつか、それが最初に建てられる時に、そこに居るのがより心地良く感じられるでしょう。
人々がそこで、人々を地面に、彼らの心に戻らせる親密な感じを体験すると信じています。
利休が彼の
2畳の茶室で感じた心と身体の調和の中での一体感と同じ静けさと美しさを、
現代の日本の普通の人に感じさせるでしょう。

 7 世界共通の原型としての可能性

 日本で行われるにも拘らず、
客観的な質問を用いての人々の願いについての調査分析、スタディが日本で行われたにも拘らず、
私が提示した結果は、より広く適用できるものでもあると言及するべきです。
確かに同一ではないのですが、他の文化の中で、前の方の章で記述しているような質問を人々に尋ねて、
それらの答えとそれから導かれる結果は、同様であると信じています。そして、この章でお見せした結果は、
日本の人々の為に考え出され計画設計されたにも拘らず、いくらかの変換を伴って、
ノルウェーや、ヨルダンや、中国や、アメリカ合衆国で、チリで、ドイツで、ケニヤで、イギリスで、
北インドやネパールでも、適用できるものなのです。 

 勿論、住宅計画は文化により、かなり特定されます。生成プロセスの例として、コロンビア文化の特性を後で取り上げます。
ベネズエラ文化の一つで、大変異なっています。
(先を購読されたい方、原書で購読を希望される方は、どうぞ、こちらへ。→ http://www.natureoforder.com/ )
しかし、密度がこの章で語っているような段階の高密度となった時に、選択の余地は狭まって、
人間の要求と欲求の限界と呼応して、密度が、可能である良い解決の範囲をより小さい範囲へと導くのです。
高層賃貸住宅は、ただ人々の欲求にそぐわず有害なのですが、世界中で使われているのです。
それで、私がここでお見せしているような原型が、其々の文化の特性から変形して、
いくつものバージョンで、世界中のどこかで、
かなり高密度で建てなくてはならない地球上の多くの所で、あらゆる所で、
人々の情緒と願いを大切に扱えるように用意するのです。

 世界の殆どの国で、モダン形式住宅から苦痛を忍んでいます。
それらのモダン形式は、必要でもないのに、非人間的な、非効率的な、コスト高で不快な方向に嵌っているのです。
それは、他に仕様がない、代替案がないと間違った思い込みから起きています。
こうして、必要性を嘆きつつ、おそらく、そこに住む家族へのダメージに心の中では謝りながら、
19世紀から20世紀の住宅形式を不承不承に建てているのです。

 この節において、前には想像していなかった一つの代替案をお見せしました。
日本の法律基準の最高限度の密度を達成する形式の一つですが、
人間的で過去の時代に見られた美しい高密度の町屋と似ている条件に基づいています。
この新しい住宅形式は、
より良い空間で、より良い採光と日照で、より良い駐車場で、より良い庭で、より良い質と独特さで、
より良い計画で建てられるのです。
それらは、本当のコミュニティの創造に近づけるとも、私は信じています。

8 いくつかの高密度住宅のための不変の式

この章で記述してきたことは、高密度住宅の為の世界共通の生きているプロセスではなくて、
むしろ高密度住宅のための一つの特徴的な計画形式を創造することができる一つのプロセスについてです。
これまで住宅計画が達したことのないような、

1
エーカー当たり50世帯から80世帯という大変な高密度の条件下でさえ、大変良い特徴を保っているのです。

 後の章で記述している低密度の住宅と比べてみると、
例えば、
1エーカー当たり10世帯から20世帯の一般的特徴を調査検討しましたところ、
全く、異なった配置計画です。
1エーカー当たり20世帯の場合、庭の影響が主な課題となり、歩車分離で、歩行計画が大変重要となります。
1エーカー当たり40世帯から80世帯では、
その形式を成功裏に決定付ける主な特徴の全てとして、
日当たり良く、庭は狭くても居心地良く、
2階建てではなく2階半建ての高さで、
駐車は部分的に地下で、部分的に路地上と混合します。

 住宅配置計画の一般的形態的特徴は、生きているプロセスから典型的に出現するのですが、
このようなかなりの高密度で、下記の通りです。

 高さが、最も重要です。
3階の低い軒が、8メートルではなく7メートルであるということが、
驚くほどに重要な詳細事項となります。
賃貸住宅・住棟の形が、路地や庭に沿って細長く、
故に充分に陽光を受けて、窓が間取りに従って設けられるのです。
小さな庭付きの各住戸も、重要です。
狭い路地でもゆっくりの車両通行と数台の駐車が可能ですが、
実際のところ、歩行者空間で、親しみやすいスケールで平行に走っています。
各住戸の間取りは、極限的高密度であっても、各世帯、家族によりデザインされます。

 高密度住宅のための真に生きているプロセスによって生成された形態の本質は、このようになります。

 世界は、子供たちが、お年寄りが、人間が歩き、遊び、存在するところは、主に歩行者空間です。
親しみやすい小さなスケールで。路地は細やかで、狭く、車用の土地面積は最小に抑えます。
若しも上記の高密度で100%の駐車場率であるとすると、一部は地下駐車場となります。
誰でもが、猫の額ほどで、古椅子とゼラニウムの花鉢を置くだけでも自分の庭を持ちます。それは、自分のものなのです。
住戸は、日当たりの良い内部で、間取りは自分で決められる家です。
これは、構造として、住戸の奥行きを浅くして、間口を長くとることから出来ます。
住戸内部空間は、住む人が、自分の居間を、間仕切り壁を、浴室を、キッチンを、自分が望むように作ることが出来るのです。
住棟建物は、
2階半建て以上であってはなりません。
これで、路地と庭の人間にとって居心地の良いヒューマン・スケールと
生き生きしている感じを創造するのに十分な低い軒高を保っているのです。

                                           

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以上ですが、

東日本大震災での住環境建て直しで、液状化対策でも、津波被害地から遠い丘陵への移転でも、

この白鳥計画型が、重要な要点を抑えて、此処かしこで実現されることを切望しております。

勿論、地震対策やコストから金属屋根への変更バージョンや、基礎構造との合理的関係性が必要に
なるでしょう。

儀礼的なワークショップや華麗なシャーレイで形式化することのない、実際的な住民参加で進むことが出来れば、

日本で、世界で初の素晴らしい住環境の生成を獲得することでしょう。

さあ、今年も元気に頑張りましょう!

(*^▽^*)/

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