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よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪20210403

「板橋の空の下、石神井川は流れる」

その3

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           桜香る花吹雪
の中、新年度がスタートいたしました。
 
     お元気ですか。

   前回は、生きているプロセスの実例として、

その「流れ」に着目しました
板橋の3階建て木造共同住宅工事計画において、

今回は、難題であった「ポジティブ・スペース」について焦点を当てて参ります。

 

 敷地形状は、細長い矩形に近い不定形で、

奥よりも狭い間口は5.4m程で、奥行きは15.5m程で、前面道路は幅4mです。

 ここで、当初より、スケッチ、図面、模型、

そして敷地へと試行錯誤しながら、

「メイン・ボリューム」、

「メイン・エントランス」、

「オープン・スペース」と

「ポジティブ・スペース」を見出し確かめ、定めていきます。

1.メイン・ボリューム

事業計画から経済性と、

敷地割り、道空間と敷地形、構造と地盤、

都市計画や建築法規からの初期条件から、

メイン・ボリュームは導き出されるところが大きいです。

勿論、模型と現地で試行錯誤しながら、

上記の他の3点と関連して考え、スキームを進めます。

2.メイン・エントランス

 道路からのアプローチから、メイン・ボリュームにつながり、

目につくように、メイン・エントランスを考え、見出します。

 内部空間と外部空間をつなげる境界、半外部空間を形成し、

レベル・オブ・スケール、大・中・小の空間構成で全体性を強化します。

段階的に、

道路

腰壁や庭に囲われるアプローチ

小の半外部空間であるポーチ

中の屋内共用階段スペース

大の
各住戸と構成されます。

 しかし、ポーチと共用階段を介するメイン・エントランスは、

平面のみではなく、立体的にメイン・ボリュームを補完し、

それは、バルコニーと共に、境界域を生成し全体性を強めます。





3.オープン・スペース

 細長い敷地形状から、

自ずとメイン・ボリュームの脇とその前後となります。

前面道路の幅員が4mであることから、

道路境界線からメイン・ボリュームは、十分な距離をとって、軒高8.3mから、

道路の向かいから建物外壁まで8.3m程は保ちます。

 間口5.4m程の敷地で、両側に隣地境界線との間に0.5mは空けるので、

建物の外壁厚さを考慮して、柱中心間で建物幅は、4.3
mとなります。

この幅で、木造3階建てとして、安定して経済的な奥行きは、8.8m程となり、

エアコンが1台で済む各住戸の屋内空間である14帖と水廻り空間や、

屋内共用階段空間を、レベル・オブ・スケールを意識しながら、

小さいコンパクトな空間のため、境界域は大切だが、

ゴツゴツしない滑らかさを、求めます。








 道空間は、北側ですが、石神井川の様にカーブを描く道路から、

東や西からも日が差して、

猛暑の中では、気持ちの良い外部空間、オープン・スペースとなります。

建物外壁、正面は、影となるので、明るく生き生きとした色が求められます。

地区計画の条件からも色は決まってきますが、

その地域や、建物の全体性を強めるように、

明るい色は効かせることが求められます。

「道空間」については、次回へと続きます。


 

 こうして、道路とは反対側の、

南側の庭空間のオープン・スペースが導かれ、

メイン・ボリュームとメイン・エントランスや境界域により、

「地と図」の一体性を得ていきます。

4.ポジティブ・スペース

 以上3点から、全てのスペースがポジティブ・スペース、

生き生きとした空間になるかどうかです。

(新型コロナ感染PCR検査が陽性ということではありませんよ〜)
 
次回に取り上げる道路からアプローチへとつながる北側のオープン・スペースは勿論、

災害時の避難経路となり点検時の通路にもなる東側や、

やっと通れるほどの設備配管や採光や換気のための西側も、

そうしたことが可能なので、何とかポジィティブ・スペースです。







 ここで、取り上げるのは、

南側のセミ・プライベートとなる、敷地内のみではなく、

この街区を生き生きとした空間、ポジティブに出来る空間についてです。

 陽光が、地面にとどいて、植栽が健やかに育つように適度な風が通りぬける空間で、

外壁や窓に囲まれている空間でも、滑らかな光が壁に映るような空間です。

 その為に、圧迫感なく、バルコニーの迫り出しが無いことが肝要です。

この青空天井の空間ボリュームは、

奥行き2.5m程で、高さ8m程、幅7m程です。

2階や3階の迫り出しバルコニーは、1階の南側をデッドスペースにして、

それは上階のバルコニー自体や、

隣家にとってもポジティブ・スペースに反する結果を導くことにとなるのです。

 幸い南側の隣の建物は、2階建てで、

西側は、隣のバルコニーの側面なので、陽光はとどき風は通ります。

東側の4階建て鉄筋コンクリートのビルは、平成4年から5年にかけての建設時に、

ビルの反対側の道路後退分の50cm程を、奥に平行移動した結果、

排水管が数ミリ、こちらの敷地側に、境界線から越境している状態ですが、

そのビルの南側から風は通ります。

 大きめの地震時に、

南側の隣家所有のブロック塀が倒壊する可能性があり、

その対策として、樹木となる植栽と土留めが有効と考えられ、

かつ、それらはポジティブ・スペースに貢献します。

補強コンクリートブロックの土留めは、腰掛ベンチの高さです。

次に、内外、メイン・ボリュームと建物長辺、

脇の配管や換気スペースとなる東と西の空間を含めて、

「図と地」の関係とすべく考えます。

 東側では、隣家2軒を意識して、

東側フェンス沿いの流れ、不定形な敷地形状を生かして、

斜め45度の角度で、自然な動線の形を強めます。

それが、東側フェンスと共に、植栽スペースを強めて、

隣の窓との干渉を抑えて、プライバシーを適度に守ります。

それ自体が、不安定になりがちな細長い平面や立体を補う、

内部空間と外部空間を緊結する形状とする、

方杖のある建物の全体性を、平面的にですが、その形を強めるのです。

 一方で、ミャンマーチークのピンカド厚さ20mmのデッキ材を、

屋内共用階段に採用し、蹴上分は玄関の土間にまわして、

その踏面や廊下の床に用いました。

長橋氏の正確な丁寧な施工から、

当方の残りの切れっ端を捨てたくない、勿体ないという気持ちから試行錯誤して、

このデッキ材の板つなぎの溝にアルミのフラットバーを通してみました。

樹木の葉のような、

全体として、自然と均一ではない強い形、ランダム市松として、

上下の各
2段は一本材で通して、塀としての全体性を強めています。

それは、難点であった隣の窓の風通しや目隠しとしてのバランスを保つように、

災害時には、そこから避難もできるようにと、

フェンスの高さも考慮しています。

守りが過度にならずに、

プライバシーとコミュニティのバランスが、ポジティブ・スペースの要でもありました。


 

 

また、ピンカドのデッキ材が、階段や廊下の内部空間や、

北側の半外部空間のバルコニーの手摺や、南側の庭に用いられて、

「溶け込み」により全体性を強めています。

こうして、南庭が、敷地内は元より、隣棟との間のポジティブ・スペースに、

街区全体に貢献できることを期待するのです。

南庭を強めるのに、内外の全体性を強めるのに、

耐候性のある塗装仕上げのデッキ材が貢献しています。

南庭では、草目地が固めることを期待される

地面に砂敷きされた溝付きの硬質なデッキ材と、

土留めの笠木がそれらです。





木製の共用階段や廊下の床から、バルコニーの手摺や、

東側フェンス、そして南庭のデッキ材と土留めの笠木と、

既にある構造を強める、構造保存強化の一例です。

当初は共用階段の踏面と廊下とエントランスの床と、

各住戸とをつなげる各玄関の土間に用いる計画でしたが、

プラスαを多めにと配慮をしてくれたミャンマーチーク担当者と、

折角の材を捨てないという方針を支持してくれた元請施工担当者と、

かなり面倒な木工事も、

木への愛と、豊かな経験を持つ大工の中村氏のお陰で、

実現しています。(人''▽`)

残材の寸法差から、フェンスや土留めの笠木に「粗さ、ラフネス」が見られて、

それは脆い均一さではない全体の強い形に貢献しています。

畏まらずに、より生き生きとした日常生活の場、

安全な適度にプライバシーを守るコミュニティに貢献できればと期待し、

それを願っているのです。
☆彡 

次回は、引き続きですが「道空間」について取り上げます。(^o^)/

どうぞ、お元気で、次回をお楽しみに〜♪^_-)

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