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      よりハッピーになる微笑み空間をつくりましょう♪

           *いえの庭・まちの庭*

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201369

14:18

  紫陽花の頃、私達よりもずっと前から家の裏に棲んでいるカエルの一家が、
庭に出てきて、空梅雨の夏日の夕方には、蹲の中でノビノビ涼んでいたり、
辺りで石のように静止していて、黄昏時には、踏んでしまいそうになる頃です。
家の裏もカエルの棲みかに50年以上もなっていると思うと、
全ての空間がポジティブ・スペースであると嬉しくなります。

 ご無沙汰しておりました。お元気ですか。

 

 前回から続きまして、近隣で「微笑み空間」と感じられる例をご紹介したいと思います。

 

 自転車で練馬から江古田・小竹町方面へ向かう時に、
西武池袋線南側である、桜台を貫けて行きますが、
お気に入りのルート沿いにある住宅の例です。




 以前から、写真を撮ったり、庭仕事されている住人の方に、
「素敵なお庭ですね」と声を掛けさせていただいたりとしていました。

 古くからある日本瓦葺平屋建てに接して鉄筋コンクリート造の2階建が増築されているのですが、
開かれた社会の中で親世帯と子供世帯がそれぞれのライフスタイルを尊重しながら、
一つの全体を形成していて、それが周囲へうまい具合に波及効果を生んでいます。

 

 妻屋根の向きを既存に合わせたり、
圧迫感や威圧感のない家のボリュームが若い世帯が親世帯を守るように配置されていたり、
親世帯から育てている樹木を生かし若い世帯が新しい草花樹木を育てて深みのある趣を醸し出して、
地域に開いていることからより洗練された社会性を感じます。




 「住まい手が育ててより強化される全体性をデザインしている、時のデザインプロセス」、
「家の庭は、まちの庭、家の壁は、道の壁」と興味は尽きず、
鉄筋コンクリ―トの外壁と木造の板壁や漆喰壁、瓦葺屋根とスレート板葺、
木の風格ある深い色合いと鉄筋コンクリート打ち放しの色とその上や下に被さるバラなど灌木や草花と、
軽さと重さのコントラスト、柔らかさと硬さのコントラストが絡み合い一体となる全体性を強め、
新旧一つの塊となっても、自然と平面的にも立体的にも雁行して庭とインターロッキングし、一体となって、
庭とも全体性を形成し、陰陽のような地と図の強い関係を感じさせます。


 更に、地域に開かれていて、街並みに働きかえて、間違いなく、この地区のセンターになっていると感じます。
正に「いえの庭は、まちの庭」、スケール感や形状や開口部の在り方から圧迫感のない
RC造の壁は、
「道」という地域のリビングを形造っている壁と感じることができます。

 そうして、まち自体が庭になる、ガーデン・シティが、
2550年と形成されて、
それも個々の主体性から、自発創生から、しかもより良く影響し合って、
四季折々楽しめ、生き物と共生する健やかな社会と一体の空間、生活環境です。

 新しく、春の花を植えこんでいたり、バラの花の手入れをしたりをされている時に

邪魔にならないようにと願いつつも声を掛けや易く、
ある時は、4メーター道路上にバラのアーチが出来ていて喜んだり、日々楽しむことが出来ます。
そして、道から、家で仕事などをしている人の気配を感じ、
家からも道行く人や、ただずんでいる人の気配も感じることができると安堵感が生まれます。

 
 境界の在り方と空間密度と
豊かに時を重ねて自然と一体ともなれる命そのものともいえる質から、
こうした居心地良さを感じます。
これが、何か宗教対立や異民族間の対立などから地域コミュニティを守るようなケースでは、
境界の在り方や空間密度も変わり、そこで生きる人々の安堵感に貢献して、異なる空間性質となりますが、
境界のパターンが重要であることには変わりません。

 この住宅のケースでは、
「既存の構造を大切にする」
「既存の構造が守られより存在感が深められ、新しい構造自体が既存の構造が在る故に、よりセンターが強化される」
「切り離し難くそれぞれに強い価値がある地と図」、
「一本の線でスッとは引けないラインではなくスペースとなっている境界」、
「すべてがポジティブスペース」といった少ないルールですが良く効くルールで、
「身近で触れることの出来る草花」などその部分の詳細なパターンが、
それらのルール、大きなパターンを強めて全体に貢献し、切り離せないものとなっています。


 素晴らしいことに、これが街並みに、地域の景観に波及して行っているのです。

お向かいに、隣家に、またその隣に、次の道へと。

 そうして、楽しんで歩けて、安全に安心に暮らせる地域になって行きます。

  

 
 嬉しいことに、
ここが「
2013JIA25年賞受賞」の阿部勤氏作の「桜台の家」であることが、
最新の会誌で知ることとなりました。


 

 恥ずかしながら、我が家の周囲でも、
25
年前に目論んだように「いえの庭」は「まちの庭」となり、立ち話も弾む雰囲気となっています。

あなたの周囲では、いかがですか。

 

 私の暮らす練馬区で、
長年関わってきている「練馬まちづくりセンター」
http://nerimachi.jp (小場瀬令二所長、筑波大学名誉教授)作成の
練馬区地域景観資源登録制度
25年度「とっておきの風景をおしえてください」の素敵なチラシを手にして、
応募してみようかと・・・。
こういう地域が、「地区計画」という手法を用いて、

各地域のセンター、素敵な景観、風景として、大切にして守り、
また、それらを磁力として、
より微笑み空間をひろげ、つくっていけたらと願うのです。
車が通らない狭い路地も、既存の構造の一つ。
様々な問題を解決しつつ、より良く、楽しく、微笑み空間が広がって行きますように。